『あたしだけ何も起こらない』(ハン・ソルヒ/著 藤田麗子/訳 キネマ旬報社)

キネマ旬報社から6月11日に韓国でとても話題を呼んでいるエッセイ2冊の邦訳版が出版されました。『あたしだけ何も起こらない』(ハン・ソルヒ/著 藤田麗子/訳)『僕だって、大丈夫じゃない』(キム・シヨン/著 岡崎暢子/訳)です。
まずは『あたしだけ何も起こらない』をご紹介します。
独身アラフォーの人気脚本家ハン・ソルヒさんが、自分の恥ずかしい経験を赤裸々に綴って、人より遅いペースで人生を歩んでもまったく問題ないんだよと明るく語るエッセイ。
適齢期という言葉ににとらわれて、何もできていない自分の人生を情けなく思ってしまうことが多々あるでしょう。「いや、本当はその生き方で大丈夫だよって言ってもらいたいだけだな。」「歳月と共に人間が完成するのは偉人伝の中の話よ」など、ユーモアにあふれた人生考察と、ゆる~いイラストが、そんな心を軽くしてくれます。
訳者の藤田麗子さんからメッセージを頂戴しました。

30歳を迎えたときに「もっと大人になれているはずだったんだけど」と思い、40代に入ったときも同じことを思ったような気がします。

痩せにくくなったり毛穴が目立ってきたり、外見は確実に年をとっているのに、中身は若い頃とまるで変わっていないような……。「このままでいいのかな?」とふと不安を感じることがありますが、この本にはそんな不安が赤裸々につづられています。

著者のハン・ソルヒさんは、30~40代独身女性の仕事や恋愛模様をリアルに描いた人気ドラマシリーズ『ブッとび! ヨンエさん』の脚本家。共感せずにいられない“あるある”話から、ウソみたいなホントの話まで、おもしろすぎるエピソードが満載です!

2007年の放送開始から12年にわたってヨンエさんを演じてきた女優キム・ヒョンスクは、韓国での本書発売時にこんなコメントを寄せている。
ある日、私は台本の1シーンを読んで監督に抗議した。
「いくらヨンエさんだからって、これはさすがにありえない! こんな人、どこにいるっていうんです?」
すると監督は言った。「数週間前にハン・ソルヒさんが体験した出来事だそうです」
私はうなずくしかなかった。
そう、真の“ヨンエさん”はハン・ソルヒ作家なのだ!(訳者あとがきより)
(藤田麗子)

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『あたしだけ何も起こらない』(ハン・ソルヒ/著 藤田麗子/訳 キネマ旬報社)