『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ、ファン・ソヌ/著 清水知佐子/訳 CCCメディアハウス)

邦訳版刊行の予告が出るやSNSで話題をさらっている『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ、ファン・ソヌ/著 清水知佐子/訳 CCCメディアハウス)が書店に並び始めました。血縁関係や婚姻関係という従来の家族制度に縛られることなく、同性、異性を含めた友人同士の同居など、新しい「家族」の形と生き方を提案してくれる本書。ハナさんとソヌさんの率直な文章と、素敵な部屋の写真からは、気の合う友人とぶつかったり折り合いをつけたりしながら共同生活をすることの楽しさが十分に伝わってきます。平均寿命が伸び、離婚や死別など様々な別れの理由で、長く一人暮らしをしなければならない場合が増えつつある昨今、「ゆるやかな形で集まって暮らすパートナーや気の合う誰かと一緒に生活する場合も、互いの保護者の役割を十分に果たせるような方向になればいいと思う」というソヌさんの言葉が、とても印象的でした。訳者の清水知佐子さんからメッセージを頂戴しましたのでご紹介します。

「シングル」か「結婚か」。ひとりは寂しいし、かといって、家父長制の渦の中に飛び込むのはまっぴらごめんだ。人生を大きく左右する選択肢の中に自分が求めるものがなかった著者のふたりは、40歳を前にして「女ふたり猫4匹」の共同生活を実現させます。そう、望む選択肢がなければ自分で作ってしまえばいいのです! でも、他人と一緒に暮らすのは、たとえ夫婦であってもなかなか難しいもの。ふたりが日々ぶち当たる試練に「そうそう」「あるある」と共感しつつ、けんかしては和解するふたりの姿に、他人とのコミュニケーションにもちょっと前向きになれるかもしれません。いいえ、ふたりのしなやかな思考と生き方に触れればきっと、人生そのものに前向きになれることでしょう。(清水知佐子)

『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ、ファン・ソヌ/著 清水知佐子/訳 CCCメディアハウス)