2016年も残すところあと1日となりました。
今年、どんな韓国の本が翻訳され、出版されたのか、文学を中心にまとめてみました。
韓国現代文学で最高の大河小説と言われている朴景利の『土地』第1巻、第2巻をはじめ、拷問技術士として多くの無実の民を牢獄に追いやった父とその娘のゆがんだ関係を描いた千雲寧の『生姜(センガン)』、今年「ブッカー国際賞」を受賞した『菜食主義者』の著者ハン・ガンが光州5.18事件を舞台に鎮魂の物語を書き上げた『少年が来る』など、様々なテーマの本が出版されました。この年末には、韓国で130万部のロングセラーとなっているチョ・セヒの『こびとが打ち上げた小さなボール』が斎藤真理子さんの翻訳で、河出書房から出版されています。急速に都市開発が進む70年代のソウルを舞台に、社会の下層にいるために虐げられていく弱者の悲しみと怒りが描かれています。
韓国の小説には日本の小説にはないテーマ性があります。みなさんはどのようなテーマに関心がありますか。書店でぜひお手にとってみてください。
今、バラを摘め 著者:文貞姫 翻訳: 韓成禮 思潮社
ワンダーボーイ 著者:キム・ヨンス 翻訳:きむ ふな クオン
生姜(センガン) 著者:千雲寧 翻訳:橋本智保 新幹社
思想の月夜 ほか五篇 (朝鮮近代文学選集) 著者:李泰俊 翻訳:熊木勉 平凡社
アンニョン、エレナ 著者:金仁淑 翻訳:和田景子 書肆侃侃房
少年が来る 著者:ハン ガン 翻訳:井手俊作 クオン
完全版 土地 第1巻 第2巻 著者:朴景利 翻訳:吉川凪 清水知佐子 クオン
渓西野譚 著者: 李羲準 李羲平 翻訳: 梅山秀幸 作品社
冠村随筆 著者:李文求 翻訳:安宇植 川村湊 インパクト出版会
こびとが打ち上げた小さなボール 著者:チョ・セヒ 翻訳:斎藤真理子 河出書房新社