教保文庫、9月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2024年9月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。8月末に刊行されたばかりの新刊がトップ3を独占し圧倒的な人気の高さを見せています。注目の新刊ではホンブル文学賞を受賞した『시티 뷰(シティービュー)』を取り上げました。

1位:『영원한 천국(永遠なる天国)』チョン・ユジョン著(ウネンナム/2024.8.28)
2位:『이중 하나는 거짓말(どれかひとつは嘘)』キム・エラン著(文学トンネ/2024.8.27)
3位:『빛이 이끄는 곳으로(光の導く場所へ)』ペク・ヒソン著(ブックロマンス/2024.8.21)
4位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
5位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)
6位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』チョン・ヘヨン著(エリクシル/2021.7.26)
7位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
17歳の時に互いの父母が不倫の末に海の事故で亡くなるという悲劇に見舞われて別れを余儀なくされた元恋人同士の二人が、大人になって再会し、過去の痛みを抱えながらも再び距離を縮めていく痛くて切ない恋愛小説。
8位:『우리에게 남은 시간 46일(私たちに残された時間46日)』イ・ソル著(ハイスト/2024.1.29)
9位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)
10位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨプウィジャ/2021.4.20)

注目の新刊は以下のとおりです。
『시티 뷰(シティービュー)』ウ・シニョン著(タサンブックス/2024.9.20)
第14回ホンブル文学賞受賞作品。大都市と富裕の象徴である超高層ビルを舞台に、上昇しようとする欲望と滑落する絶望とが交差する現代を細やかな描写で綴った長編小説です。審査員から、都市を構成する様々な階層の欲望と傷を「立体的で複合的な人物を通じて巧みに表現した」と称賛され受賞作に選定されました。著者は教育者で、今年の8月には児童書『언제나 다정 죽집(やさしいおかゆ屋さん)』で黄金トッケビ賞も受賞しています。

『오늘은 오늘의 하루(今日は今日の一日)2024教保文庫ストーリー大賞青少年短編受賞作品集』チョ・チャンヒ、オン・ハナ他著(ブッダ/2024.9.12)
2013年のスタート以来、多くの魅力的な作品を発掘してきたストーリー大賞が青少年短編部門を新設しました。本作はその初の受賞作を収録した青少年向けの短編集です。近い将来聴力を失うと診断を受けた少年とその家族を通じて、他人の話に耳を傾けることとは何かを考える「무지개 넘어, 덴마크(虹の向こう、デンマーク)」(チョ・チャンヒ著)の他、4つの短編が収められています。書籍のタイトルには、「大人になるための明日を待つ存在ではない、今日を生きる存在としての青少年を肯定する」というメッセージが込められているそうです。(文/高上由賀)