教保文庫、12月のエッセイ月間ベストと注目の新刊

教保文庫の12月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。昨年の11月から12月にかけて行われたFIFAワールドカップの影響で、サッカー関連のエッセイが2冊ランクインしました。また、「インスタマンガ」で人気の著者によるイラスト付きエッセイも人気を集めています。

1位:『모든 것은 기본에서 시작한다(すべてのことは基本から始まる)』ソン・ウンジョン(スオソジェ/2021.10.15)
国家代表にも選ばれたことのある元サッカー選手の著者が、選手として、父として、指導者として生きる中で悟った「人生の本質」について書いたエッセイです。本から学んだことが多かったため、自分も誰かの助けになりたいと自身の経験や考えを一冊にまとめました。「謙遜しろ。お前に与えられたものはすべてお前のものではない」「人生を俯瞰しろ。欲を捨て、心をからっぽに」など、どのメッセージもシンプルで分野を問わず生きるヒントを与えてくれます。
2位:『인생의 역사(人生の歴史)』シン・ヒョンチョル(ナンダ/2022.10.17)
3位:『잘될 수밖에 없는 너에게(うまくいくしかない君に)』(10万部記念応援エディション)チェ・ソヨン(ブックロマンス/2022.08.18)
4位:『너의 하루가 따숩길 바라(キミの一日がポカポカしてたらいいな)』コ・ウンジ(ブックライフ/2022.12.09)
著者は心理カウンセラーとして働きながら、「癒しのクマ」というキャラクターが主人公のマンガをインスタグラムに投稿しています。本書はその中でも特に好評を得た57のエピソードに加え、オンライン未公開の作品、さらにはエッセイやセルフカウンセリングQ&Aを追加するという充実した内容です。ふわふわしたクマたちの愛らしさにほっこりするだけでなく、心理学に基づいたアドバイスが心の処方箋になります。
5位:『내일, 내가 다시 좋아지고 싶어(明日、また自分のことを好きになりたい)』ファン・ユナ(リードリード出版/2023.01.05)
金融、化粧品、ファッションなどさまざまな分野の会社に勤務しながら非正規雇用のつらい現実に直面したり、ADHDであることが判明したりするなど、未来への漠然とした不安を抱えてきた著者が現代人の悩みに共感し癒しを与えてくれます。愛について、仕事について、病気について、インナーチャイルドについて……。身近な問題だけれど他人には言いづらい悩み、そしてそれらを克服するヒントが19のエピソードを通じて語られています。
6位:『100세 철학자의 행복론(100歳哲学者の幸福論)』キム・ヒョンソク(ヨルリムウォン/2022.11.28)
1920年平安北道生まれの著者は、戦時中に日本の上智大学で哲学を学び、故郷で解放を迎えます。1947年に北朝鮮を離れ、1954年から31年間延世大学の哲学科で教鞭を取り、100歳を超えた現在も執筆活動、講演などを行っています。本書では、哲学を長年研究し続けてきた著者が「愛」や「幸福」について語ります。世の中を見つめる視点を少し変えるだけで自分に向けられた愛を感じ、人生が変わってくることを教えてくれる一冊です。
7位:『기분을 관리하면 인생이 관리된다(感情をコントロールすれば人生をコントロールできる)』キム・ダスル(クラウディア/2022.04.12)
8位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
「人生を決定するのは一日の気分」であり、「感情を態度に出すことは愚かなことだ」と著者は断言します。「感情をコントロールすれば未来が変わり、その未来が人生になる」という考えをベースとして、自分の感情に責任を持つ方法や人生への向き合い方などの具体的なアドバイスとともに、平穏な心理状態を保つ秘訣が書かれています。
9位:『불안(不安)』アラン・ド・ボトン/チョン・ヨンモク訳(ウネンナム/2012.01.04)
著者はイギリス在住の哲学者、エッセイストで、日本でも『哲学のなぐさめ 6人の哲学者があなたの悩みを救う』(集英社/2002)など邦訳書がいくつか出版されています。本書では「社会的地位に関する不安」に焦点を当て、その感情が生まれる原因を細かく分析しています。また、哲学や芸術、政治などを通じた、著者なりの不安解決法を提示しています。
10位:『축구를 하며 생각한 것들(サッカーをしながら考えたこと)』ソン・フンミン(ブレインストア/2020.08.21)
著者は韓国を代表するサッカー選手で、現在はイギリスのトッテナム・ホットスパー・フットボール・クラブに所属しており、1位の著書『모든 것은 기본에서 시작한다(すべてのことは基本から始まる)』の著者ソン・ウンジョンの息子でもあります。厳しい父のもとで行ってきた過酷な練習や慣れない異国での生活、国家代表選手として感じたことなど、華麗な経歴を持つスーパースターの成長ストーリを知ることができる一冊です。

注目の新刊

『생에 감사해(生に感謝して)』キム・ヘジャ(スオソジェ/2022.12.22)
著者は、映画『母なる証明』、ドラマ『まぶしくて』『私たちのブルース』など数々のヒット作に出演し、日本にもファンの多い俳優キム・ヘジャです。本書は「現実の過酷さの中に針の穴ほどの希望を見いだせるか」を作品選びの基準とし、フレームを通じて人々に多くの光を与えてきた彼女の俳優人生の自伝的な記録です。華麗な舞台の裏側で感じていた虚無や悲しみといった感情についても告白しています。(文/金知子)