教保文庫、11月のエッセイ月間ベスト(韓国通信)

今月から、教保文庫のエッセイ月間ベストもご紹介します。ここ数年のうちに日本でも韓国エッセイが注目を集めるようになり、訳書も多く出版されています。小説の月間ベストと合わせてチェックしてみてください。
11月は、2021年に出された邦訳作品『わたしの心が傷つかないように』(李聖和訳、日本実業出版社)の著者ソルレダによる新刊が9位にランクインしました。YouTuberとして活躍する作家の新刊も注目を集めています。

1位:『조금 서툴더라도 네 인생을 응원해(少しくらい不器用でも君の人生を応援するよ)』慈懷読書会/チョン・ウンジ訳(メディアの森/2022.11.20)
本書を編纂した中国の慈懷読書会は600万人以上の会員を抱えるメディアプラットフォームで、オンライン・オフライン双方でさまざまなイベントを行いながら、多くの女性たちの生き方に影響を与えています。本書は、これまで公開した文章の中から読者の共感を得た作品を集めたもので、人生における成長や夢、恋愛と結婚、心を鎮める方法など多様なテーマについて書かれています。懸命に生きる女性たちへの応援歌のような一冊です。

2位:『잘될 수밖에 없는 너에게(うまくいくほかはない君に)』チェ・ソヨン著(ブックロマンス/2022.08.18)
アナウンサーとして活躍しながらYouTuberとしての活動を始めた著者は、現在フリーランサーとして「ライフスタイル」「自己啓発」に関するコンテンツを発信しています。本書は、これまで語ってきた内容の中から、特に反響を呼んだテーマについて書き下ろした初のエッセイ集です。著者が人気を集める理由は、温かくも厳しく現実的なアドバイスを与えてくれるという点にあります。本書には「望みを叶えたいならまず自分自身をよく知ること」、「望みを正確に理解すること」など、最高の人生を送るための具体的な提案が詰まっています。

3位:『인생의 역사(人生の歴史)』シン・ヒョンチョル著(ナンダ/2022.10.17)
評論家である著者の4年ぶりとなる新作です。5部構成で各5編計25編の詩を取り上げ、さらに詩にまつわる文章5つを付録として収めた本書は、「詩話」という形式をとりながら苦痛や愛、死、歴史、人生を突き詰めます。本書で取り上げられている詩は、朝鮮に古くから伝わる「公無渡河歌」や尹東柱の「いとしい追憶」、ハン・ガンの「序詩」、著者が翻訳を手掛けた外国の詩などさまざまです。「人生に肉声というものがあるとしたら、それは詩であると思っています」と語る著者とともに、詩を媒介としてもう一つの人生を追体験できます。

4位:『사랑은 그렇게 하는 것이 아니다(愛はそんなふうにするものではない)』キム・ダル著(ビックフィッシュ/2022.10.19)
これまでに3冊のベストセラーを出し、YouTubeやインスタグラムで登録者数80万人以上を持つ著者による、恋愛をはじめとした人間関係に関するエッセイです。7年間に受けた相談のうち、多くの人が悩んでいた問題を中心に取り上げています。「人の心をつかむ方法」を学ぶなら1部、「相手の本心を読み、状況を把握する能力をつけたい」なら2部、「いい人を見分ける方法」を知りたいなら3部……と、目的に合わせて好きな箇所から読める構成になっています。

5位:『기분을 관리하면 인생이 관리된다(感情をコントロールすれば人生をコントロールできる)』 キム・ダスル著(クラウディア/2022.04.12)
作詞家としても活躍する著者の2冊目となるエッセイ集です。同じことでも気分の良し悪しで受け取り方が変わってしまう日常の中で、周りの状況に振り回されない感情を手に入れるための実践的なアドバイスが書かれています。アンラッキーなことへの対処法やネガティブ思考の克服、よくわからない閉塞感の正体など、細かい感情の一つ一つを丁寧に解説してくれます。淡々とした文体が、読者の心をいっそう落ち着かせてくれそうです。

6位:『무뎌진 감정이 말을 걸어올 때(鈍った感情が話しかけてくるとき)』キム・ソヨン著(本発電所×テラコッタ/2022.11.09)
MBCのアナウンサーとして活躍後、現在は書店「唐人里本発電所」を運営している著者は、人生で行き詰ったときに励ましてくれたのは本だったと語ります。本書では、さまざまな本の中からお気に入りの文章を紹介しながら、長い間見て見ぬふりをしてきた感情を丁寧に掘り下げていきます。

7位:『망그러진 만화(いびつなマンガ)』ユラン著(チョウンセンガク/2022.11.01)
カカオトークスタンプのダウンロード数1位を獲得するほどの人気を集めるキャラクター「いびつなクマ」とその仲間たちの日常を、愛らしい絵とともに描いたイラストエッセイです。SNSで公開されたものに加え、未公開の長編エピソードなど計84編が収められています。わざと手の力を抜いてキャラクターを「いびつな形」に描くことで、「完璧でなくても大丈夫だ」というメッセージを伝えたかったと著者は言います。嫌なことを言われて凹んでも、おいしいものを食べれば元気になる「いびつなクマ」たちに癒される一冊です。

8位:『나는 당신이 행복했으면 좋겠습니다(私はあなたが幸せだったらうれしいです)』パク・チャンウィ著(ハイスト/2021.11.25)
著者2冊目のエッセイで、ベストセラーにもなった本書は、愛や人間、そして自分自身と向き合う中で著者が感じた幸せについて書かれています。エッセイというよりも、どこか詩のような、大切な人からの手紙のような、短く柔らかい文章が続きます。自分に自信がなかったり、幸せとは何なのかがわからなくなったりしたときに読むと、前向きな気持ちになれそうです。

9位:『The Black Book 검은 감정(The Black Book 黒い感情)』ソルレダ著(ヒューマニスト/2022.10.18)
2021年に出版された邦訳書『わたしの心が傷つかないように』(日本実業出版社/訳:李聖和)の著者による新刊です。直視したくないネガティブな感情を「黒い感情」と名付け、不安や憎しみ、自責、失望、怒り、依存など70個のキーワードを一つずつ丁寧に紐解いていきます。著者が長期にわたって研究してきた感情心理学をもとに書かれた本書を読めば、自分の「黒い感情」の裏に潜む本音に気づくことができます。

10位:『누구에게도 상처받을 필요는 없다(誰からも傷つけられる必要はない)』チ・ミンソク著(スタジオオードリー/2022.04.08)
デビュー後たびたび注目を集め、ベストセラーも出している著者による「自己肯定感を高めるため」のエッセイです。多くの人が悩みを抱える人間関係において、人の感情に振り回されないこと、幸福を感じられない心理パターンから抜け出して人生の明るい部分に集中することなど、「人生の主導権を握る練習」ができる一冊です。(文/金知子)