教保文庫、8月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の8月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。1位は先月の「注目の新刊」に掲載したキム・フンの長編小説『하얼빈(ハルピン)』です。また『아몬드(アーモンド)』の著者ソン・ウォンピョンによる新作『튜브(浮き輪)』が8位にランクインしました。数多くの邦訳作品があるチョン・セラン、チャン・ガンミョン両作家の新作も注目を集めています。

1位:『하얼빈(ハルピン)』キム・フン著(文学トンネ/2022.8.3)
2位:『불편한 편의점 2(不便なコンビニ2)』キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2022.8.10)
3位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
4位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』(夏の森エディション)ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
5位:『작별인사(別れの挨拶)』(夜空エディション)キム・ヨンハ著(ポクポクソガ/2022.5.2)
6位:『아몬드(アーモンド)』(100万部記念特別版)ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2022.5.12)
7位:『달러구트 꿈 백화점(夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます)』(レインボーエディション)イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
8位:『튜브(浮き輪)』ソン・ウォンピョン(チャンビ/2022.7.22)
9位:『트로피컬 나이트(トロピカルナイト)』チョ・イェウン著(ハンギョレ出版社/2022.8.17)
第2回黄金の枝タイムリーフ公募展で優秀賞を、また第4回教保文庫ストーリー公募展で大賞を受賞した著者の2作目となる小説集です。独特なファンタジー要素を加えたホラー小説8編が収められています。
10位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2015.3.30)

注目の新刊、近刊は以下のとおりです。

『하쿠다 사진관(ハクダ写真館)』ホ・テヨン著(ノル/2022.7.18)
『플라멩코 추는 남자(フラメンコを踊る男)』で第11回ホンブル文学賞を受賞した著者による、済州島を舞台にした長編小説です。旅の途中で予想外のトラブルに巻き込まれた主人公のジェビが、何気なく立ち寄った写真館で繰り広げられる物語です。

『아라의 소설(アラの小説)』(チョン・セランミニフィクション)チョン・セラン著(アノンブックス/2022.8.24)
『シソンから、』(斎藤真理子訳/亜紀書房)『地球でハナだけ』(すんみ訳/亜紀書房)など邦訳書も多い著者による初の掌編小説集です。2011年からごく最近までの作品が収められており、200字の原稿用紙30枚程度の短いものから70枚ほどの短編小説までと、作品の分量もさまざまです。本書のタイトルにある「アラ」は、何度も登場する主人公の名前です。

『재수사 1(再捜査1)』『재수사 2(再捜査2)』チャン・ガンミョン著(ウネンナム/2022.8.22)
『韓国が嫌いで』(吉良佳奈江訳、ころから)『我らが願いは戦争』(小西直子訳、新泉社)『極めて私的な超能力』(吉良佳奈江訳、早川書房)と、様々な作風の小説を書くことで有名な著者の6年ぶりとなる長編小説。1、2巻同時に発売されました。強力犯罪捜査隊所属の刑事が22年前に発生した女子大生殺人事件を再捜査していく過程で起こる出来事を描いています。緻密な取材をもとに書かれた、社会派推理小説です。

『잘될 수밖에 없는 너에게(うまくいくしかないあなたへ)』チェ・ソヨン著(ブックロマンス/2022.8.18)
アナウンサーからユーチューバーに転身し、現在50万人を超える視聴者に自己啓発やライフスタイルのコンテンツを発信している著者の初エッセイ集です。大学で法律を勉強し、会社員を経験後フリーランスとなった経験をもとに、人生を主体的に生きるためのヒントを与えてくれます。(文/金知子)