教保文庫、6月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の6月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。『別れの挨拶』で1位となったキム・ヨンハはあらたに短編集も刊行しました。今年の日本翻訳大賞を受賞したキム・ソヨンやブッカー国際賞の最終候補に残ったチョン・ボラの新作も登場しています。

1位:『작별인사(別れの挨拶)』キム・ヨンハ著(ポクポクソガ/2022.5.2)
2位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
3位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』(夏の森エディション)ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
4位:『저만치 혼자서(そこにひとりで)』キム・フン著(文学トンネ/2022.6.1)
5位:『디 에센셜 한강(The essential ハン・ガン)』ハン・ガン著(文学トンネ/2022.5.30)
6位:『책들의 부엌(本たちのキッチン)』キム・ジヘ著(ファクトリーナイン/2022.5.12)
7位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
8位:『2022 제13회 젊은작가상 수상작품집(2022 第13回若い作家賞受賞作品集)』イム・ソラほか著(文学トンネ/2022.4.8)
9位:『칵테일, 러브, 좀비(カクテル、ラブ、ゾンビ)』(リカバー版)チョ・イェウン著(安全家屋/2020.4.13)
10位:『아몬드(アーモンド)』(100万部記念特別版)ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2022.5.12)

注目の新刊は以下のとおりです。
『어금니 깨물기(奥歯を噛む)』キム・ソヨン著(マウム散策/2022.6.5)
『一文字の辞典』(姜信子監修、一文字辞典翻訳委員会訳/クオン)が今年の日本翻訳大賞を受賞したことも記憶に新しい、詩人キム・ソヨンの4作目のエッセイ集です。家族に関する話を綴っています。

『노랜드(ノーランド)』チョン・ソンラン著(ハンギョレ出版社/2022.6.22)
第4回韓国科学文学賞の長編部門で大賞を受賞したSF作家チョン・ソンランの2作目の短編集。過去2年間で発表した10編を収録しています。邦訳に『千個の青』(カン・バンファ訳/早川書房)があります。

『눈물 한 방울(涙ひとつぶ)』李御寧(イ・オリョン)著(キムヨンサ/2022.6.30)
闘病の末、今年2月に逝去した文芸評論家で初代文化部(省に相当)長官でもあったイ・オリョンは、「時代の知性」と称されていました。2019年11月から亡くなるひと月前の今年1月まで、生命と死を見つめて書いた未公開原稿が一冊の本になりました。一部、直筆で掲載されています。

『오직 두 사람(ただ二人)』キム・ヨンハ著(ポクポクソガ/2022.7.4)
『光の帝国』『阿娘はなぜ』『殺人者の記憶法』などの邦訳があり、5月に刊行された『別れの挨拶』も大きな話題を呼んでいるキム・ヨンハの短編集です。李箱文学賞、金裕貞文学賞、呉永寿文学賞をそれぞれ受賞した「とうもろこしとわたし」「子どもを探しています」「ただ二人」など7編を収録しています。

『여자들의 왕(おんなたちの王)』チョン・ボラ著(アジャク/2022.7.7)
『Cursed Bunny(呪いのうさぎ)』が今年のブッカー国際賞の最終候補に残ったことで注目を集めたチョン・ボラの作品集。表題作をはじめ、フェミニズムファンタジー7編を収録しています。(文/牧野美加)