教保文庫、8月の月間ベストと新刊(韓国通信)

教保文庫の8月の月間ベストセラー(国内小説)と新刊をご紹介します。邦訳される前から話題になっているチョン・セランの『지구에서 한아뿐(地球でハナだけ)』(改訂版)や、第6回教保文庫ストーリー公募展大賞受賞作で、韓国推理作家協会による「今月の本」にも選ばれたファン・セヨンの推理小説『내가 죽인 남자가 돌아왔다(私の殺した男が帰ってきた)』がランクインしました。新刊コーナーではキム・グミやキム・エランをはじめ、日本でも人気の作家の作品が多数、並んでいました。

8月の月間ベストセラー(国内小説)は以下のとおりです。
1位:『직지(直指)1』キム・ジンミョン著(サムアンドパーカーズ/2019.8.1)
2位:『천년의 질문(千年の質問) 1』チョ・ジョンネ著(ヘネム出版社/2019.6.11)
3位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
4位:『대도시의 사랑법(大都市の愛し方)』パク・サンヨン著(チャンビ/2019.6.28)
5位:『내가 죽인 남자가 돌아왔다(私の殺した男が帰ってきた)』ファン・セヨン著(マカロン/2019.7.25)
第6回教保文庫ストーリー公募展大賞受賞作。韓国推理作家協会による「今月の本」にも選ばれ、映画化も確定した、今注目の推理小説です。
6位:『진이, 지니(ジニ、ジニ)』チョン・ユジョン著(ウネンナム/2019.5.27)
7位:『지구에서 한아뿐(地球でハナだけ)』(改訂版)チョン・セラン著(ナンダ/2019.7/31)
8位:『페인트(ペイント)』イ・ヒヨン著(チャンビ/2019.4.19)
9位:『82년생 김지영(82年生まれ、キム・ジヨン)』 チョ・ナムジュ著(民音社/2016.10.14)
10位:『제10회 젊은작가상 수상작품집(第10回若い作家賞受賞作品集(2019)』(文学トンネ/2019.4.5)

09078月の月間ベスト10

 

 

 

 

 

新刊コーナーでは、『あまりにも真昼の恋愛』(すんみ/訳 晶文社)が話題になったキム・グミの短編集『오직 한 사람의 차지(ただ一人だけのもの)』(文学トンネ・2019.9.2)、『外は夏』(古川綾子/訳 亜紀書房)や『走れ、オヤジ殿』(古川綾子/訳 晶文社)が人気を博しているキム・エランのエッセイ『잊기 좋은 이름(忘れがちな名前)』(ヨルリムォン・2019.6.27)、『星をかすめる風』(鴨良子/訳 論創社)や『風の絵師』(米津篤八/訳 早川書房)、『景福宮の秘密コード』(裵淵弘/訳 河出書房新社)で知られているイ・ジョンミョンのミステリー『밤의 양들(夜の羊たち)』(全2巻・ウネンナム・2019.8.30)が目を引きました。『밤의 양들(夜の羊たち)』は12年の歳月を掛けて完成した大作です。この他に、『植物たちの私生活』、『生の裏面』(どちらも、金順姫/訳 藤原書店)や『真昼の視線』(金順姫/訳 岩波書店)など邦訳作品も多い李承雨(イ・スンウ)の長編『캉탕(カンタン)』(現代文学・2019.8.25)、『美しさが僕をさげすむ』(呉永雅/訳 クオン)の著者ウン・ヒギョンの7年ぶりの長編『빛의 과거(光の過去)』(文学と知性社・2019.8.30)なども目立っていました。

0907キム・グミとイ・ジョンミン

 

 

 

 

 

フェミニズム小説集『ヒョンナムオッパへ』(斎藤真理子/訳 白水社)に収録の「すべてを元の位置へ」の著者チェ・ジョンファによる新作長編『흰 도시 이야기(白い都市の物語)』(文学トンネ・2019.8.30)や、キム・ジンナ、パク・ハリョン、イ・コンニム、イ・ジン、タク・ギョンウンの5人の作家が書いた青少年のための小説集『소녀를 위한 페미니즘(少女のためのフェミニズム)』(子音と母音・2019.8.23)もありました。

秋夕(中秋節)の連休の読書におすすめの本をまとめたコーナーもありました。金属活字を巡る中世の謎を追ったキム・ジンミョンの長編『직지(直指)』 ▽大河小説『太白山脈』(神谷丹路・安岡明子・川村亜子・筒井真樹子/訳 ホーム社)の著者チョ・ジョンネの長編『천년의 질문(千年の質問)』 ▽政治家としての経歴もあるユ・シミンの『유럽 도시 기행(ヨーロッパ都市紀行)』 ▽パク・サンヨンによる連作クィア小説『대도시의 사랑법(大都市の愛し方)』 ▽キム・ヨンハのエッセイ『여행의 이유(旅行の理由)』(バカンスエディション) ▽イ・ギジュの『말의 품격(言葉の品格)』(200万部記念エディション)など、さまざまなジャンルの本が紹介されていました。東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』の韓国語版もありました。

韓国のメッセンジャーアプリ「カカオトーク」のマスコット「カカオフレンズ」のイラスト入りエッセイシリーズにも目が行きました。『라이언, 내 곁에 있어줘(ライアン、ぼくのそばにいて)』(チョン・スンファン著・2019.2.28)、『어피치, 마음에도 엉덩이가 필요해(アピーチ、心にもお尻が必要だよ)』(ソギュル著・2019.6.10)、『튜브, 힘낼지 말지는 내가 결정해(チューブ、がんばるか、がんばらないかは私が決める)』(ハ・サンウク著・2019.7.31)の3冊で、いずれもarteから刊行されました。『라이언, 내 곁에 있어줘(ライアン、ぼくのそばにいて)』は、本サイトの「日本語で読みたい韓国の本」でも概略などをご紹介しています。(文・写真/五十嵐真希・牧野美加)

0907秋夕のおすすめ

0907カカオフレンズのエッセイ