【K-BOOK振興会だより】YA小説から女の子の心と身体を学ぶ児童書まで幅広く紹介/「カルチャーラジオ 文学の世界」も必聴です

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K-BOOK振興会便り  2023年3月号        http://k-book.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●フェア情報●
3月1日(水)~3月21日(火)神保町・ブックハウスカフェにて
「ポプラ社の韓国絵本フェア」開催

●イベント情報●

3月3日(金):【CHEKCCORI/会場+オンライン】
『絶縁』からはじまるアジア文学 第一夜 星泉×村田沙耶香
ゲスト: 星泉×村田沙耶香
http://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/77391?mc_id=939

3月11日(土):【公益財団法人としま未来文化財団/会場参加 あうるすぽっと】
世界探訪#6 韓国の文学
講師:きむ ふな
https://www.toshima-mirai.or.jp/tabid216.html?pdid1=2792

3月11日(土):【イベントプラス/ZOOMオンラインイベント】
韓国ベストセラー作家「パク・ミンギュ」トークイベント
https://www.shin-gogaku.com/ikebukuro/event/detail.php?aid=211

3月29日(火):【CHEKCCORI/会場+オンライン】
『月まで行こう』刊行記念-翻訳のこと、作家チャン・リュジンのこと
ゲスト:バーチ 美和
http://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/112445?mc_id=948

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

小説・YA 『クローバー(클로버)』
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●「貧困」「幸福とは何か」ファンタジーでありながら、骨太のテーマが込められたYA小説

キム・リョリョンの『ワンドゥギ』(2008)、ソン・ウォンピョンの『アーモンド』(2017)などK文学のベストセラーを輩出した、チャンビ青少年文学賞の2022年第15回受賞作。
主人公は中学二年生のヒョン・ジョンイン。古紙回収のリヤカーをひく祖母と二人暮らしで、生活は厳しい。
ある日一匹の黒猫ヘレルに出会う。
悪魔でもあるヘレルはジョンインを全ての想像が叶う扉の向こう側の世界に彼をいざなうが、
想像が全て叶えられる世界は、本当に幸福といえるのだろうか。
YA(青少年)小説だが、世の中と折り合う中で幸せの価値を見失っている
大人にとっても、ジョンインの真っ直ぐな言葉が胸に突き刺さる必読の一冊だ。

クローバー(클로버)

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グラフィックノベル 『遅れた返事(뒤늦은 답장)』
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●韓国マンガ界の新しい顔として注目を集めるジョンウォンのグラフィックノベル

「文学の感動と共に社会や人に対する幅広い理解を」をコンセプトに出版社チャンビが贈るマンガ図書館シリーズの1冊。
主人公は映画サークルに所属する高校生イ・ナム。孤独を抱えるナムが多くの時間を共に過ごすのは同性の友人チェグンだが、
家庭環境の違いや突然の引っ越しをきっかけにふたりはすれ違い、そのまま離ればなれになってしまう。音声で残されたチェグンからの思いに対するナムの返事、それが物語の核となる。
言いそびれた言葉、伝えられなかった思い……日本の読者も「返事を伝えるのに遅すぎることはない」という作者からのメッセージに感銘を受けるだろう。

遅れた返事(뒤늦은 답장)

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詩 『ふたりの異なる季節の旅行(서로 다른 계절의 여행)』
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●ナ・テジュと、アイドルグループGirl’s Dayの元メンバーで、女優ユラによる詩画集

韓国の国民的詩人であるナ・テジュと、アイドルグループGirl’s Dayの元メンバーで、近年は芸術家としても活動している女優ユラによる詩画集。
「人生の旅路で出会った老詩人と若い画家のハーモニー」というサブタイトルにもあるように、
「季節」と「旅行」をコンセプトに、ナ・テジュの詩の中から、春・夏・秋・冬それぞれの季節の旅にまつわる詩を集め、
その詩に合ったユラの油絵が挿絵としてページを鮮やかに彩っている。
本書のために新しく書き下ろした詩を含めた全80篇の詩を収録。
ページを開くだけでどこか遠い場所へ旅に出たような気持ちにさせてくれる、癒しの1冊。

ふたりの異なる季節の旅行(서로 다른 계절의 여행)

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児童書 『少女×体の教科書(소녀×몸 교과서)』
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●少女たちの心と身体の特性を自分自身でも学べる一冊

ユネスコが発行している『国際セクシャリティ教育ガイダンス』で満12歳から15歳の少女に薦める水準の情報を基に、医学的な基礎知識や対処法、
アドバイスなどをイラストと共に詳しく紹介した児童書であり、性教育書。
自分らしさと自分の可能性を見出す過程で手助けになって欲しいという著者の言葉の通り、世間で言われている基準が全て正しいものではなく、
あらゆる多様性を提示し、自分自身を好きでいられる、心身ともに健康でいられる様に少女たちを守ってくれる言葉たちが随所に綴られている。

少女×体の教科書(소녀×몸 교과서)

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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『吾輩こそ猫である』(チェ・ジニョン/著、中川里沙/訳、実業之日本社)
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猫の視点で人間の不思議な言動を語るコミックエッセイ。
猫から見たら、人間の行動は摩訶不思議なことばかり。でも人間にだってそれなりに理由があります。その理由がゆるいイラストとともにユーモラスに語られています。
訳者の中川里沙さんによるメッセージをご紹介しました。
http://k-book.org/yomeru/20230214/

『ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活』(クォン・ナミ/著、藤田麗子/訳、平凡社)
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副題の通り、日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活を30年以上にわたり続け、手掛けた日本文学の翻訳はなんと300冊以上!という韓国の翻訳家クォン・ナミさんのエッセイ。
前書きの一節からぐいぐい引き込まれます。訳者の藤田麗子さんによるメッセージをご紹介しました。
http://k-book.org/yomeru/230223/

『月まで行こう』(チャン・リュジン/著、バーチ美和/訳、光文社)
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『仕事の喜びと哀しみ』(牧野美加訳、クオン)でチャンビ新人小説賞を受賞したチャン・リュジンの初の長編小説。
韓国では刊行翌日に4刷となるなど大きな反響を呼びました。仮想通貨をキーワードにして、悩みを抱えながらも格差社会でたくましく生きていく若者の姿を魅力的に描いています。
訳者のバーチ美和さんによるメッセージをご紹介しました。
http://k-book.org/yomeru/20230225/

 

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、1月のエッセイ月間ベストと注目の新刊(韓国通信)
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俳優キム・ヘジャのエッセイ『생에 감사해(生に感謝して)』が1位にランクイン。特に30~50代の女性から支持を集めており、読者の80%以上を占めるといいます。
また、昨年の12月にオ・ヨンアさんの翻訳で邦訳書が出版された『천문학자는 별을 보지 않는다(天文学者は星を観ない)』も再び注目を集めています。
http://k-book.org/publishing/20230208/

教保文庫、1月の月間ベスト と注目の新刊(韓国通信)(韓国通信)
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1位、2位を占めた『不便なコンビニ』は第1・2巻合わせて100万部を突破しています(2022年11月現在)。
2020年代に入って100万部を超えたのは『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』(全2巻)、『アーモンド』に続いて3例目だそうです。
ク・ビョンモやイ・ドゥオン、ペ・スアなど日本でもおなじみの作家の新刊も刊行されています。
http://k-book.org/publishing/2023021001/

◆◇2月のK-BOOKらじお◇◆

♯34 わたし、これ担当しました―「小さな力と慰めを得ることを願っています」byキム・ウォニョン
http://k-book.org/news/radio_34/

♯35 麗子さんの韓国便り―予約1位は700頁を超える財テク本、2位はあの人気映画のダイジェスト版……
http://k-book.org/news/radio_35/

♯36 春に読みたい本は映画化も決まっているあの本/ジャケ買いで新しい本に出会おう―わたし、これ読みましたー
http://k-book.org/news/radio_36/

♯37 忘れていたやさしさを思い出し、心の点滴のような一冊です―ゲストは小山内園子さん
http://k-book.org/news/radio_37/

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__おしまいに____________________

1月から始まったカルチャーラジオ文学の世界「“弱さ”から読みとく韓国現代文学」(出演:小山内園子さん)。
毎回、心にずしりと残る言葉ばかりで、韓国文学の深さに改めて気づかされています。
https://www4.nhk.or.jp/P1929/24/

(運営委員:五十嵐真希)

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発行:一般社団法人 K-BOOK振興会

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