【K-BOOK振興会便り】著者登壇イベントに、ビジネス商談会と日韓の往来も徐々に復活

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K-BOOK振興会便り  2022年7月号
http://k-book.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●著者ご自身が登壇されるイベントをご紹介します。

7月18日(月):異聞異文トーク vol.01「韓国フェミニズム小説『僕の狂ったフェミ彼女』から考える、来るべき未来」
ゲスト:ミン・ジヒョン × 加藤慧(仙台フォーラス7F)
https://even-sendai.com/event/20220718.html

7月22日(金):【オンライン】伊東順子の”韓国事情”お話しますー第3回『搾取都市、ソウル』著者イ・ヘミさんを迎えて
http://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/59503?mc_id=891

7月30日(土):【オンライン】『引き出しに夕方をしまっておいた』刊行記念―第二弾「ハン・ガンさんと一緒に詩を味わおう」
http://www.chekccori.tokyo/mc-events/general/60683?mc_id=892

●「Visiting Korea Book Fair 2022 – Japan, ビジネス商談会」開催のお知らせ
7月28日(木)、29日(金)東京・新宿で開催される「Visiting Korea Book Fair 2022 – Japan」ビジネス商談会の
詳細は下記からご覧ください。

「Visiting Korea Book Fair 2022 – Japan」ビジネス商談会のご案内

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

エッセイ 『ときには独りという楽しみ #僕の自発的非対面ステイホーム・ライフ(때로는 혼자라는 즐거움 #나의 자발적인 비대면 집콕 생활)』
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●ステイホーム生活でみつけた、“もっとも自分らしい自分を見つめる時間”のためのエッセイ集。

コロナ禍になる前、病気のため会社勤めを辞め、実家のある仁川で、世間より一足先にステイホーム生活を送っていた著者。
そんな彼が、独りで過ごす日常を見つめ、生産的ではないけれど大切な独りの時間について語る。
独りの時間を“もっとも自分らしい自分を見つめる時間”とし、見逃していた日常の様々な風景と幸せに気づいていく。
37編のエッセイを収録している。

ときには独りという楽しみ #僕の自発的非対面ステイホーム・ライフ(때로는 혼자라는 즐거움 #나의 자발적인 비대면 집콕 생활)

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小説 『レディー・マクドナルド(레이디 맥도날드)』
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●「マクドナルドハルモニ」と呼ばれた実在のホームレス女性、故クォン・ハジャ氏をモデルとし、
彼女の生涯を著者が独自に解釈して、創作した長編小説。

いつもトレンチコートを着て、ソウルのマクドナルドで何も注文せず、英字新聞や聖書を読みながら長時間過ごした実在のホームレス女性。
「マクドナルドハルモニ」と呼ばれた彼女の様子は生前、実際のテレビ番組で取り上げられた。
生活に困窮しているのにカフェでコーヒーを飲み、取材陣にホテルでの食事を求める様子に、
視聴者からは「いい暮らしをしていた過去にとらわれ、現実を直視していない」など非難の声が寄せられた。
はたして彼女の人生は非難されるべきものだったのか。彼女をモデルとし、生前の言動を織り交ぜつつ、
著者独自の解釈で創作した長編小説。東京のバス停で男に殴られ命を落としたホームレス女性のことは記憶に新しいが、
人の生き方や歩んできた人生は他人にはうかがい知ることのできないものだということを改めて感じさせる。

レディー・マクドナルド(레이디 맥도날드)

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小説 『スマイル(스마일)』
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●『楽器たちの図書館』『ゾンビたち』の著者キム・ジュンヒョクによる新作短編集。

独創的なアイデアとポップな感覚が持ち味の人気作家キム・ジュンヒョク。彼の魅力である奇想天外な発想とユーモア、
軽快な文章を愉しめる1冊。テンポよく読め、伏線の回収も鮮やかだ。
麻薬の運び屋が主人公のハードボイルドな表題作「スマイル」をはじめ、
小型飛行機の墜落により漂着したのは全体がプラスチックの島だった「暇つぶしにアルバトロス」、
左利きの人間しか存在しない部族の島へ彼らの秘密を調査しに行く「左」、自動運転車に搭載された人工知能がハッキングされる「チャオ」、
2019年沈薫文学賞大賞を受賞した「休暇中の死体」の5作が収められている。

スマイル(스마일)

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絵本『ろうそくの本(촛불책)』
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●バースデーケーキに飾るろうそくと、そのろうそくの火を消す過程をイメージした仕掛け絵本

すべての人々の誕生をお祝いしたいという気持ちから生まれた絵本である。
ケーキの上にあるろうそくの火を、四季折々に咲く花々や蝶、ミツバチなどの生命体として描くことで、誕生の素晴らしさを伝える。
柔らかく美しいタッチの絵で、ろうそくの火から蝶や花が誕生し、最後にあなたの誕生を祝うメッセージが飛び出す。
ろうそくの火をつけたり消したりする動作、箱を開ける動作など様々な仕掛けがある。
読者に仕掛けを促す文章は短く、リズミカル。親子で楽しめる絵本。

ろうそくの本( 촛불책 )

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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『波が海のさだめなら』(キム・ヨンス/著、松岡雄太/訳、駿河台出版社)
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生後数か月でアメリカに海外養子に出された主人公が、自分の実母を探すうちに、たくさんの秘密に接し、真実をさすらう物語です。
キム・ヨンス作家というと「他者との疎通」を思い浮かべますが、本書は他者だけでなく「自分の過去との疎通」もテーマ。
訳者の松岡雄太さんによるメッセージをご紹介しました。

『波が海のさだめなら』(キム・ヨンス/著、松岡雄太/訳、駿河台出版社)

『Lの運動靴』(キム・スム/著、中野宣子/訳、アストラハウス)
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Lの運動靴の修復依頼を受けた美術修復家。修復の意義に悩む彼の視点を通して、静謐な時間の中で語られる「物質」と「記憶」をめぐる物語。
美術修復家の心の変遷を、実在する美術作品の修復作業とともに精巧に、繊細に語りながら、歴史=記憶の闘争についても語る。
訳者の中野宣子さんによるメッセージをご紹介しました。

『Lの運動靴』(キム・スム/著、中野宣子/訳、アストラハウス)

サンサロようふく店(アン・ゼソン/作・絵、林木林/訳、TOY Publishing)
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韓国でまだ誰もが民族衣装を着て暮らしていた頃、町なかの「三叉路」に初めての洋服店ができました。
その名も「サンサロようふく店」。その洋服店を親子三代で紡いでいくお話です。
韓国ではなかなか「老舗」と呼ばれる店ができにくいと言われています。
そんな中、地域のみんなに愛される店を営むことの大切さ、時代の流れに合わせて生き続けていくたくましさを見せてくれる作品です。
訳者であり、詩人でもある林木林さんのメッセージをご紹介しました。

サンサロようふく店(アン・ゼソン/作・絵、林木林/訳、TOY Publishing)

『+1cm IDEA たった1cmの差があなたの心をがらりと変える』
(キム・ウンジュ/著、ヤン・ヒョンジョン/イラスト、小笠原藤子/訳、文響社)
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『+1cm』シリーズ4冊目となる本作は、「あなたの心」をがらり変えてくれます。
ほんの少しものの見方を変えるだけで、もやもやした心が整理されポジティブになれる本、そしてカラフルなイラストが心を明るくしてくれる本です。
訳者の小笠原藤子さんによるメッセージをご紹介しました。

『+1cm IDEA たった1cmの差があなたの心をがらりと変える』(キム・ウンジュ/著、ヤン・ヒョンジョン/イラスト、小笠原藤子/訳、文響社)

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊、近刊(韓国通信)

教保文庫の5月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。1位はキム・ヨンハの新作長編『別れの挨拶』でした。
世界的な作家の代表的な小説やエッセイを一冊にまとめた文学トンネのキュレーションシリーズから、
韓国人作家第一弾としてハン・ガンの作品集が刊行されました。
『黒山』のキム・フン、『ギター・ブギ・シャッフル』のイ・ジン両作家もそれぞれ短編集、長編小説を発表しました。

教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

__おしまいに____________________

わがふるさとの七月は/青葡萄の熟れゆく季節

7月になると李陸史の詩「青葡萄」を思い出します。詩の「七月」は旧暦ですが、この暑さで一気に葡萄も熟れていきそうです。
猛暑が続いていますので、みなさまどうぞご自愛ください。

(運営委員:五十嵐真希)

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