【K-BOOK振興会便り】韓国大統領選を前に気になる前大統領の一冊の中身とは

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K-BOOK振興会便り  2022年3月号
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●3月18日(金)19:00~20:30
先輩翻訳者たちから学ぼう―翻訳とは。翻訳することとは―
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「韓日翻訳者育成プログラム」の3回目は、第一線で活躍されている翻訳家、李聖和さん、桑畑優香さん、古川綾子さんをお招きして、韓国の本を翻訳することについて語っていただきます。
ナビゲーターは斉藤典貴さん(亜紀書房)です。

「韓日翻訳者育成プログラム」オンラインイベント開催のお知らせ

※過去回をお申込みいただきますと、録画URLでご覧いただけます

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

人文 『六夜の哀悼(여섯 밤의 애도)』
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●グリーフカウンセリングによる「心の癒やし」の記録

グリーフカウンセリングの専門家コ・ソンギュが、自死遺族のグループ活動をアレンジし、参加者たちの「心の癒やし」の過程を記録した作品。
自殺で肉親を亡くした20~30代の女性5人が、自助グループ「マインドピクニック」に参加し、六夜に渡って思いを語り合った。彼女たちは対話に対話を重ね、少しずつ故人と正面から向き合い、周囲との関係を再構築し、自分なりの新たな生き方を見出していく。
臨床心理学の専門家でもある著者は、対話を通じた「哀悼」の大切さを訴える。

六夜の哀悼(여섯 밤의 애도)

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エッセイ
『ある本の修繕家の記録——壊れた本に込められた記憶をよみがえらせる(어느 책 수선가의 기록)』
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●傷み、壊れゆく本の時間を止める修繕家の作業日誌

ソウルの延南洞にある工房で本の修繕に従事する著者ジェヨンが、個人から依頼をうけて修繕した本のエピソードを綴ったエッセイ。
100年以上前の本から、新品同様でどこが破損しているのかひと目ではわからない雑誌まで、持ち込まれるものは様々だ。それらをじっくり観察し、依頼人との対話から彼らの思いを汲み取って、再び美しい本に仕上げるまでの作業の記録が、落ち着いた筆致で綴られる。すべてのエピソードに添えられた修繕前と修繕後の写真からは、著者の誠実な仕事ぶりがうかがえる。

ある本の修繕家の記録——壊れた本に込められた記憶をよみがえらせる(어느 책 수선가의 기록)

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人文 『短い小説の書き方 ~傷と悲しみを癒す小説創作案内書~
(짧은 소설 쓰는 법~상처와 슬픔을 다독이는 소설 창작 안내서~)』
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●小説家による、青少年のための小説創作案内書

小説家イ・ムニョンが、青少年のために小説の書き方を説く。
作文ですら嫌がる彼らに対して、なぜ「小説」なのか。本書はその疑問に答えるところから始まり、登場人物の設定からプロット、背景、視点、文体、推敲に至るまで、小説を書く上で知っておかなければならない基本の全てを初心者にも分かりやすく説いてくれる。
著者は、「文章を書くことは自分の内にあるものを外に出す行為であり、書くことによって、学校や日常生活で誰にも癒されなかった心の傷を自ら癒すことができる。」と語る。あらゆるジャンルの文章を書いてきた著者らしく、ゲームや映画、童話やファンタジー小説など、様々なジャンルの文が例として示されていることも本書の魅力のひとつ。

短い小説の書き方 ~傷と悲しみを癒す小説創作案内書~(짧은 소설 쓰는 법~상처와 슬픔을 다독이는 소설 창작 안내서~)

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人文 『地方出版で食べて行けるのか(지역출판으로 먹고살 수 있을까)』
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●韓国の地方で活躍する16の小出版社を取材した本

『한국출판학회 2021 올해의 책(韓国出版学会2021今年の本)』に選定された作品。
韓国各地にある地方出版社がどのようにして経営を成り立たせているのかを、その歴史と共に取材した内容が書かれている。「市場価値が弱いという理由で地域の文化資産が消滅する危機に置かれている。そこで見張りの役割をするのが地域出版社だ」「地域は国の根であり、出版は文化の根だ」。地方出版社にはこのような使命感が息づいている。
各出版社へのインタービューの最後で必ず「地域出版で食べて行けるのか?」「地域出版を他の人にも勧めるか?」という質問があり、
どの会社も大手出版社のように利益を上げているわけではないが、口を揃えて「今この仕事をしていて幸せだ」と語っている。そこからも、出版に対する使命感の強さや、充実感が伝わって来る。

地方出版で食べて行けるのか(지역출판으로 먹고살 수 있을까)

◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『トゲトゲくんは ね、』
( 作: クォン・ジャギョン、 絵: ハワン、訳: いくたみほ、パイインターナショナル)
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「怒り」の感情について教えてくれる絵本。本当はにっこり笑顔でいたいのに、
自分のことを守るために「怒り」のトゲをどんどん大きくしていくトゲトゲくん。
ついにはひとりぼっちになってしまいます。どうしたらみんなと仲良くなれるのか。
トゲトゲくんの絵に目が引かれますが、描いたのはハワンさん。
日韓でベストセラーとなっている『あやうく一生懸命生きるところだった』や『今日も言い訳しながら生きてます』
(ともに岡崎暢子訳、ダイヤモンド社)の著者でもあります。
日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介さんによる解説も充実しています。
訳者のいくたみほさんによるメッセージをご紹介しました。

『トゲトゲくんは ね、』( 作: クォン・ジャギョン、 絵: ハワン、訳: いくたみほ、パイインターナショナル)

『韓国エンタメ業界の現場≪リアル≫ K-POPアイドル・韓国ドラマ俳優はこうして作られる』
(ドラゴン・ジェイ著、川谷麻由美(ME YOU)訳、玄光社)
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BTSだけではなく、映画もドラマも世界中の人々を魅了し、韓流ブームを巻き起こしている韓国エンタメ。
どのようにしてスターは生まれ、マーケティングされ、マネージメントされているのか。
整形から契約まで、韓国エンタメ業界の現場が赤裸々に書かれています。
訳者の川谷麻由美(ME YOU)さんかによるメッセージをご紹介しました。

『韓国エンタメ業界の現場≪リアル≫ K-POPアイドル・韓国ドラマ俳優はこうして作られる』(ドラゴン・ジェイ著、川谷麻由美(ME YOU)訳、玄光社)

 

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

◆教保文庫、1月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の1月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報を紹介しました。
ウン・ヒギョンやチョ・ナムジュの小説集、BTSの歌にまつわる詩人ナ・テジュのエッセイ、
映画監督ユン・ガウンのエッセイなど新作も盛りだくさんです。

教保文庫、1月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

◆◇戸田郁子の日々是拘泥◇◆

『恋しさはだれにでも生まれるものではありません
(그리움은 아무에게나 생기지 않습니다)』/朴槿恵

大統領選挙を目前に控え、書店には各候補者に関連する書籍が平積みになっています。
その中でひときわ目立つ、赤い服の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の表紙。
『恋しさはだれにでも生まれるものではありません』。昨12月末に刊行されたとたんに、
教保文庫の1月第1週から第4週までの「総合ランキング」で1位を記録し、
現在、2月第1週には2位となっている。なぜこの本が売れているのでしょうか。

『恋しさはだれにでも生まれるものではありません(그리움은 아무에게나 생기지 않습니다)』/朴槿恵

__おしまいに____________________

駐日韓国文化院の「ひとこと書評」掲示板で書評投稿プレゼントイベントが始まっています。
対象作品は、日本で出版された韓国の文芸作品(日本語翻訳版に限る)です。
掲示板に投稿された書評から毎月抽選で5名様に、韓国の有名な詩の一節がデザインされたしおり
(5枚セット)がプレゼントされます。ぜひ、お気に入りの作品をご紹介ください。

詳細はこちらです。
https://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?cate=16&page=1&number=7104&keyfield=&keyfield1=&key=

(運営委員:五十嵐真希)

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