●本書の概略
本書は、2025年の光復(韓国での日本統治が終わったこと)80周年を前に、日本各地に点在する朝鮮人強制動員の現場を訪ね、著者自らが撮影した写真と取材記録をまとめた一冊である。
九州の佐多岬から北海道の宗谷岬までを巡り、日本統治時代に朝鮮半島出身者の労働力によって建設された炭鉱、ダム、鉄道などの施設や、犠牲者を追悼する慰霊碑など40か所以上について、写真付きで詳しく紹介している。
「ドキュメンタリー写真家」として活動する著者は、関釜フェリーで日本に渡り、その後1か月にわたってバイクで6,107kmを走行し、日本全国に残る朝鮮人強制動員ゆかりの地を巡った。
韓国出版文化振興財団と大韓出版文化協会が発表する「2025年上半期、今年の青少年教養図書」の中高生人文社会ジャンルで優秀選定図書にも選ばれた。
●目次
はじめに
釜山から下関へ
1日目/八幡製鉄所、田川石炭記念公園、三池炭鉱、大牟田市徴用犠牲者慰霊碑
2日目/佐多岬
3日目/大畑駅
4日目/津賀ダム
5日目/高知県 桂浜公園坂本龍馬像、亀島山地下工場跡、韓国·朝鮮人強制連行労働犠牲者慰霊碑
6日目/余部橋梁、鉄道工事中殉難病沒者招魂碑、浮島丸爆沈事件殉難者追悼の碑
7日目/野田トンネル
8日目/ビーナスライン、松代大本営
9日目/宮下ダム、面白山高原駅
10日目/田沢湖姫観音像
11日目/尾去沢鉱山
12日目/函館朝鮮人慰霊塔、立待岬
13日目/夕張神霊之墓、夕張市石炭博物館、炭鉱メモリアル森林公園、オロロンライン、宗谷岬、祈りの塔
14日目/旧日本陸軍浅茅野飛行場跡
15日目/知床国立公園
16日目/札幌朝鮮人殉難者慰霊碑
17日目/新日本海フェリー
18日目/舞鶴赤れんがパーク、丹波マンガン記念館
19日目/同志社大学の尹東柱詩碑、円安現象とオーバーツーリズム
20日目/昭和池、神戸電鉄敷設工事朝鮮人労働者の像
21日目/神戸港平和の碑
22日目/高暮ダム·王泊ダム、広島平和記念公園
23日目/錦帯橋、岩国愛宕山地下飛行機工場、長生炭鉱追悼ひろば、長生炭鉱ピーヤ
24日目/秋吉台カルスト·角島大橋、関門トンネル、トングル·ドンネ(糞窟村)
25日目/門司港
おわりに
訪問地位置
●日本でのアピールポイント
2019年、「元徴用工訴訟」をきっかけに、韓国では「ノージャパン」運動として日本製品の不買運動や日本旅行のボイコットが広がったことは記憶に新しい。しかし当時は日韓関係の悪化ばかりに注目が集まり、その背景にある朝鮮半島から強制動員された人びとの歴史については、十分に伝えられてこなかった。まして、日本国内に彼らの痕跡が今なお残されていることを知る人は、どれほどいるだろうか。
著者が訪れた場所の中には、インターネット上にほとんど情報がなく、あるいは情報を頼りに現地を訪れても管理が行き届いておらず、見つけることさえ困難な慰霊碑なども含まれている。実際に著者自身が各地へ足を運び、その記録を残したからこそ、強制動員の問題が過去の出来事ではなく、現在へと続く、忘れてはならない問題であることが実感をもって伝わってきた。
(作成:德田晴子)

