●本書の概略
農業を営みながら詩を書くという、一風変わった詩人による作品である。本書は全四部構成となっており、農村に暮らす詩人の何気ない日常が丁寧に描かれている。都会に住む私たちは、日々あくせくと忙しく過ごし、常に何かに追われている。しかし本書では、「そのままにしておく」というタイトルの通り、物ごとを無理に変えようとしない姿勢が詩として表現されている。無理に変えないということは、自然の流れに身を委ねることであり、人や出来事をありのままに受け入れることを意味しているのではないだろうか。
●目次
1部 歩んできた道が恋しくて
2部 包まれて生きる
3部 そして若草色の新芽が芽吹いて
4部 家中に笑顔があふれた
●日本でのアピールポイント
韓国では、大人だけでなく子どもに向けた「児童詩」というジャンルが確立されており、幅広い世代が詩に親しむ文化がある。一方、日本では詩は一般的に広く読まれているとは言い難い。小学校から高校までの国語の教科書には登場するものの、書店での取り扱いは多いとは言えず、日常的に好んで読む人が限られているジャンルである。
しかし、詩には物語とは異なる魅力がある。小説のように長時間を要することなく、ちょっとした隙間時間に一編を気軽に読むことができる点である。また本書は、強いメッセージ性を前面に押し出すのではなく、人間のありのままの暮らしを静かに、しかし深く感じさせてくれる作品である。都会の喧騒の中で忙しさに疲れている人や、自然やスローライフに関心のある人にぜひ手に取ってほしい一冊である。さらに、本書にはどこか古き良き時代の日本と通じる部分もあり、読者はノスタルジーも感じられるのではないか。
ゆったりとした時間が流れる本書を読むことで、日々の慌ただしい生活を見つめ直し、詩に親しむきっかけとしてみてはいかがだろうか。
(作成:小倉エレナ)

