そのままにしておく(그대로 둔다)

原題
그대로 둔다
著者
ソ・ジョンフン
出版日
2020年10月5日
発行元
サンチュサム出版社
ISBN
9791190026024
ページ数
134
定価
10,000ウォン
分野

●本書の概略

農業を営みながら詩を書くという、一風変わった詩人による作品である。本書は全四部構成となっており、農村に暮らす詩人の何気ない日常が丁寧に描かれている。都会に住む私たちは、日々あくせくと忙しく過ごし、常に何かに追われている。しかし本書では、「そのままにしておく」というタイトルの通り、物ごとを無理に変えようとしない姿勢が詩として表現されている。無理に変えないということは、自然の流れに身を委ねることであり、人や出来事をありのままに受け入れることを意味しているのではないだろうか。

●目次

1部 歩んできた道が恋しくて
2部 包まれて生きる
3部 そして若草色の新芽が芽吹いて
4部 家中に笑顔があふれた

●日本でのアピールポイント

韓国では、大人だけでなく子どもに向けた「児童詩」というジャンルが確立されており、幅広い世代が詩に親しむ文化がある。一方、日本では詩は一般的に広く読まれているとは言い難い。小学校から高校までの国語の教科書には登場するものの、書店での取り扱いは多いとは言えず、日常的に好んで読む人が限られているジャンルである。
しかし、詩には物語とは異なる魅力がある。小説のように長時間を要することなく、ちょっとした隙間時間に一編を気軽に読むことができる点である。また本書は、強いメッセージ性を前面に押し出すのではなく、人間のありのままの暮らしを静かに、しかし深く感じさせてくれる作品である。都会の喧騒の中で忙しさに疲れている人や、自然やスローライフに関心のある人にぜひ手に取ってほしい一冊である。さらに、本書にはどこか古き良き時代の日本と通じる部分もあり、読者はノスタルジーも感じられるのではないか。
ゆったりとした時間が流れる本書を読むことで、日々の慌ただしい生活を見つめ直し、詩に親しむきっかけとしてみてはいかがだろうか。

(作成:小倉エレナ)

ソ・ジョンフン
1958年5月5日、慶尚南道、馬山(マサン)の山あいの村に生まれる。貧しくとも汗を流して働く人が執筆をすれば世の中が正しい方向に変わっていくということを教えてくれた師匠に出会い、詩を書き始めた。現在は慶尚南道の合川(ハプチョン)で農業を営みながら「実りの担い手共同体」と「蔦(つた)人文学校」を開き、仲間たちと学び合いながら生きている。全泰壱文学賞 、徐德出文学賞、權正生文学賞などを受賞した。 主な著書としては、詩集『58年戌年』『妻に申し訳ない』『私が最も優しくなるとき』、若者向けの詩集として『ジャガイモがおいしい理由』『休み休み行っても大丈夫』、児童詩集『上体起こし』『我が家の食卓』『届かない手』『私は不器用』、散文集『農夫詩人の幸福論』『恥ずかしくない食卓』『農夫の人文学』、絵本『最後のニュース』図鑑『農夫がまいた希望の種』などがある(いずれも未邦訳)。