●本書の概略
大手出版社を退職し、地方で出版社を営みながら10数年農業に携わってきた著者が、現代の「新しい農夫」たちのために、実用的な20の道具を紹介する「生活密着型」の農エッセイです。過酷な労働としての農業ではなく、適切な道具を通じて、非力な初心者や都市生活者でも持続可能な「農ある暮らし」を楽しむためのヒントを提示します。
「農業は続いていく。だが、農夫の姿は変わりつつある」 かつての農夫は、子供の頃から体で仕事を覚えた「ベテラン」でした。しかし現代の農夫は、成人してから土に触れる「初心者」が大半です。本書は、そんな彼らが直面する「体力の限界」や「技術の壁」を、いかに道具の力で乗り越えるかに焦点を当てます。
本書で紹介されているのは、腰を痛めない手動除草機、超小型耕運機、さらには循環型の暮らしを支える「コンポストトイレ」や「鶏小屋」まで多岐にわたります。著者は、自分の体格や環境に合わせて道具を選び、時には作り変えることこそが、小さな農業を豊かにする鍵だと説きます。気候危機や地方消滅が叫ばれる今、自らの手を動かして生きようとするすべての人へ贈る、優しくも心強いガイドブックです。
●目次
はじめに 新しい農夫、新しい道具
超小型耕運機
コンポストトイレ
種まき機
苗木移植機
支え木
田手動除草機
畑除草機
刈り取り機
家庭用精米機
農産物舗装材
安全斧
オンドルとかまど
鶏小屋
ミツバチの巣箱
道具のレンタル
終わりに さらに付け加わる道具
●日本でのアピールポイント
1. 日本の「週末農園」「市民農園」ブームとの合致 現在、日本の都市部では市民農園の需要が非常に高く、趣味として農業を始める層が増えています。本書が扱う「小規模で、体を壊さず、効率的に楽しむ」ための道具選びは、日本のビギナー農家にとって即戦力となる情報です。
2. 道具マニアやDIY好きに刺さるディテール 単なるカタログではなく、実際に使ってみた失敗談や工夫が綴られているため、日本の『現代農業』誌の愛読層や、『ドゥーパ!』のようなDIY系メディアを好む読者にも魅力的なコンテンツです。
3. 「エコロジカルな自立」を求める若い世代へ 「自分で食べるものを自分で作る」という自給自足的な価値観は、日本のZ世代やミレニアル世代の間でも共感を集めています。西村佳哲『自分の仕事をつくる』のように、働き方や生き方を問い直す文脈で紹介できる一冊です。
(作成:横田明)

