京城幻想劇場(경성 환상 극장)

原題
경성 환상 극장
著者
チェ・ジウォン、チョン・ヒョウォン、チャン・アミ、キム・イサク、ハン・キョン
出版日
2024年3月12日
発行元
アンジョンカオク
ISBN
9791193024560
ページ数
308
定価
16000ウォン
分野
小説

⚫︎本書の概略

ジャンル文学の世界で注目を集め、精力的に活動を続けている5人の作家がリレー形式で物語をつなぐ本作は、1920年代の京城(現在のソウル)を舞台としたミステリーロマンス短編集である。
舞台は、火神百貨店の裏にある幻想劇場。その劇場で『カルメン』再演に向けた準備を進める6月会という劇団の団員たちと、その周りの人物がさまざまな角度から描かれる。
無名作家と人気劇作家の新婚夫婦、端役の女優と投資家、衣装を担当する洋服店の店主と背景美術担当、チケット係と常連客、主演女優と美術担当ーーそれぞれの登場人物たちが「愛」と向き合い、葛藤しながらも成長していく。各話には謎が散りばめられており、最後の収録作「光よ、光よ」へとつながり、10年前に何があったのかが明かされる構成となっている。

⚫︎目次

・京城のカルメン チェ・ジウォン
・好きなふり チョン・ヒョウォン
・舞台の裏で チャン・アミ
・愛のキューピッド キム・イサク
・光よ、光よ ハン・キョン

⚫︎日本でのアピールポイント

本書は短編集でありながら、全作を通して同じ世界を描いていて、他の作品とのつながりやヒントが仕込まれている点も大きな魅力である。このような連作短編集は日本でも人気があり、読み進めるほどにその世界の立体感が増していく点が読者を惹きつける。
特に、本書は5人の作家が短編を持ち寄ってひとつの物語を作っているのが最大の魅力である。個性的でありながらも、全体の世界を壊さず、むしろ補い合ってひとつの世界をより豊かにしている。
舞台背景は日本統治時代の京城ではあるが、日本の読者も自然に入り込める内容となっている。

(作成:佐々木菜穂)

チェ・ジウォン
「ヴィクトリア」という名前で歴史物やファンタジーを執筆してきた。毎回、主人公をどこまで苦しめるかを悩みながら書いている。
チョン・ヒョウォン
森羅万象に広く関心を持つが、どの分野も深く掘り下げない性格のため知識は浅い。
チャン・アミ
「存在せよ」と書くだけでその場に何かが存在するようになる魔法を信じている。『星と鳥と少年について』『ただお月さまだけが』を執筆。そのほかアンソロジーにも参加している。
キム・イサク 翻訳家であり小説家。 消された声を取り戻す物語を模索し、歴史や女性、そして怪力乱神に深い関心を持つ。 『漢城府、月の明るいところに』『北朝鮮移住者と一緒に暮らしています』を執筆し、さまざまなアンソロジーにも参加している。『漢城府、月の明るいところに』はドラマ化が決定している。
ハン・キョン
舞台場で成功に磨き上げられた激しい感情を安全な客席から感激するために毎週末、大学路(テハンノ)に通う。著書に『探偵チョン・イルド事件簿』『探偵も保険になりますか』などがある。