ボールひろってください(공 좀 주워 주세요)

原題
공 좀 주워 주세요
著者
チャ・ヤダ(文、絵)
出版日
2022年3月30日
発行元
bookgoodcome(북극곰)
ISBN
9791165881580
ページ数
48ページ
定価
15,000ウォン
分野
絵本

●本書の概略

うさぎのボールを拾ってくれるのは誰でしょうか?
高台にある公園でボール遊びをしていたうさぎの少年が、うっかりボールを下へ飛ばしてしまいました。1分で行ける距離なのに取りにいくのが面倒なうさぎは「だれかボールひろってください!」と、下を通りかかる動物たちに声を掛けます。かめのおじいさんは耳が遠くて全然話になりませんでした。その後、ひよこの女の子、ライオンのおじさん、キリンのおばさん、サイ、カバ、ワニ―――いろいろな動物が通りかかってボールを蹴り返してくれようとしますがなかなかうまくいきません。どいつもこいつも役に立たない、と結局自分でボールを拾いにいく羽目になったうさぎ。ところが、階段を下りていくと、どんなに探してもボールが見当たりません。ボールがなくなったと思ってしょんぼりしていると、いきなり目の前にボールがころがってきました。実は、高台にある公園まで5時間かけてたどりついたかめのおじいさんが上からボールを投げてくれたおかげでした。そんなことは知らないうさぎはボールを発見し大喜びで家へ帰っていきます。あたりはすっかり夜になっていました。
一方、かめのおじいさんは帽子を落としてきたことに気付き、その後また5時間かけて自力で帽子を階段下まで取りに来ました。誰の助けも借りませんでしたが、夜明けまでには無事に帽子を取り戻しました。
誰もが知っているイソップ童話『うさぎとかめ』のパロディーで、まるっきり新しい、うさぎとかめの物語です。

●日本でのアピールポイント

楽しい色遣い、予想外のストーリー展開は、五味太郎さんの絵本を思わせます。また、ことばの配置やデザインもユニークで、『ライオンのこころ』(レイチェル・ブライト文、ジム・フィールド絵、安藤サクラ訳)のようにいきいきとしていて印象に残ります。
動物たちのやりとりはわかりやすく、ユーモアにあふれているので、親子で楽しく読みすすめられます。笑いとともに、気付きと感動を与えてくれる美しい物語に、大人もハッとさせられるでしょう。

(作成:山口さやか)

チャ・ヤダ
イラストレーターであり美術監督。空想の物語や動物を描くのが好き。教科書や放送、教育教材の挿絵を描き、学校で美術を教える。釜山国際こども青少年映画祭で美術監督を務めた。現在は影島という小さな島で子どもたちに絵を教えつつ、絵本を書いている。他の作品に『パパの休日』(第4回想像満開本の絵展当選作、2022年文学ナヌム選定図書)がある。