夏、どこかで死体が(여름, 어디선가 시체가)

原題
여름, 어디선가 시체가
著者
パク・ヨンソン
出版日
2016年7月22日
発行元
ダサンブックス
ISBN
9791130608945
ページ数
396ページ
定価
12,420ウォン
分野
小説

●本書の概略

二十一歳の浪人生カン・ムスンは、あることからひとりたくましく暮らす祖母のいる田舎に置いてけぼりに。携帯も繋がらずに暇を持て余していた時、幼い頃に描いた宝の地図を発見。それを頼りにタイムカプセルを掘り起こしているところを、名家の養子の美少年、ユ・チャンヒに見つかる。中に入っていた木彫りと、彼の亡くなった姉が描いた絵が同じ物だと気付いた二人は、その意味を探すことに。そして十五年前の同じ日に少女四人が行方不明になった事を知る。その一人がユ・チャンヒの姉だった。だが一つの事件だと思われていたそれらは実は全く別々の事件で、一人は遊びに出掛けたまま別の所で暮らしており、もう一人は崖崩れで亡くなっていて、更にもうひとりは家出をしていた。そして血の繋がらない姉だと思っていたユ・ソンヒは、十五年前強姦にあいユ・チャンヒを産んで亡くなった母であった。彼を育てていたのは実の祖父母だったのだ。口は悪いが面倒見のよい祖母の助けもあり、こうして事件は解決した。カン・ムスンは無事ソウルへと戻って行き、田舎の夏も終わりを迎えた。

●目次

1.夏、悲しかろうがなかろうがカボチャの葉包みを大口で
2.夏、団扇であおぐのをやめれば更に暑く感じるものだ
3.夏、よりにもよってそこに?背中の真ん中に汗疹
4.夏、昼間置いて来た葉っぱの船はどこへ?
5.夏、食べる前に溶けたアイスクリーム
6.夏、井戸水を汲むなら誘い水を注さねば
7.夏、天気雨が降れば虎が嫁入りをし
8.夏、夏のホラー特集にスイカは困る
9.夏、流れ星が流れる時は短い願い事を
10.夏、人間の気分なぞは気にしない、蠅一匹
11.夏、カゲロウが夢見る世界
12.夏、どこかの谷間で死体が朽ちるとしても
13.残暑は短いのが礼儀
追伸、インディアンサマーでも残暑でも

●日本でのアピールポイント

小説家としては今作がデビュー作となるが、多くの人気ドラマや映画を手掛けた人気脚本家であり、ドラマや映画のファンであれば名前を知っているかも知れない。映像作品に関わって来た作家らしく、推理小説というジャンルでありながらも宝の地図、タイムカプセル、美少年などわくわくするポイントが盛りだくさんで、たくましい祖母と孫のやり取りも実に軽快だ。

(作成:繭羽)

 

パク・ヨンソン
2003年クウォン・サンウ主演の映画『同い年の家庭教師』で脚本家デビュー。日本の同名ドラマを元にし、主演をソン・イェジンが務めた『恋愛時代』、イ・ミンギ出演『いいかげんな興信所』、イ・ドンウク主演『乱暴〈ワイルド〉なロマンス』、『恋のドキドキシェアハウス~青春時代~』など多くの人気ドラマの脚本を手掛ける。ドラマ『ホワイトクリスマス』は2012年に『第45回国際ヒューストン映画祭 テレビシリーズ家族・青少年部門』で大賞に。この長編小説が小説家としてのデビュー作だ。