●本書の概略
白い画用紙の上に小さな点がぽつんとひとつ光っています。その点が「僕をちょっと触ってごらん」といい、手をあててさっと広げてみるとすると「うわぁ、君すごいね」とキラキラとした明るい色の蝶が1匹現れます。次々と現れた点を広げると美しいチューリップやタンポポ、百合の花、朝顔などが花開き、ミツバチが現れました。果たしてこの点はいったいなんなのでしょうか?
「ろうそくの本」はろうそくを灯して歌を歌って、ろうそくを吹き消す誕生日のお祝いの過程をイメージした絵本です。すべての人々の誕生をお祝いしたいという気持ちを込めて、ケーキの上の明るいろうそくの灯を四季折々に咲く花々や蝶、ミツバチなどの生命体を描くことで、誕生の素晴らしさを伝える絵本です。柔らかく美しいタッチの絵で、ろうそくの灯から蝶や花が誕生し最後にあなたの誕生を祝うメッセージが飛び出します。
「開けてごらん、君のために準備したよ」
絵本の表紙にかけられたパステルカラーのリボン、そこにつけられたちょっとはにかんだ様子のリスの絵のネームタグ。贈り物を連想させるこの絵本は、独特の構成で目を引き付けます。
一編の詩を読むような表現で、あなたの誕生がどれだけ価値のあるものかを伝える抒情的な文章と、「さあ、ふーっと吹いてごらん」と一緒にろうそくを灯し消す動作を促す躍動感のある文章が一つの場面のなかに多彩で豊かなメッセージを伝えています。
●日本でのアピールポイント
柔らかいタッチの絵で、最初はろうそくの灯とは想像もつきません。しかし、ひとつひとつの点が美しい蝶や花になって、最後には生まれてきたあなたを祝うメッセージが送られます。
子ども向けの本で優しい気持ちになれる本です。ちょっとつらい時間をおくっている大人の気持ちを癒してくれる絵本です。
(作成:菊池 静華)