ぼくのパパはね・・・(우리 아빠는요)

原題
우리 아빠는요
著者
パン・ソンヒ
出版日
 2021年12月20日
発行元
 ウンジン・シンクビッグ
ISBN
 9788901255057
ページ数
32ページ
定価
 13,000ウォン
分野
 絵本

●本書の概略

こどもの目線から描いた、休日の父子の物語。
表紙を開けると、既にそこから物語は始まっている。見返し部分に描かれているのは、「今日はキャンプに行くって約束したよね?」と、寝ている父親を起こすこどものイラストが。この日が来るのを待ちきれなかったこと、普段は忙しい父とのふれあいを本当に楽しみにしていたということを一目で感じるほっこりした仕掛けがなされている。都会の家を出て、郊外のキャンプ場へと車で向かう父子。いつになったらキャンプ場に到着するのかを何度も聞く様子や、空に浮かんだ様々な形の雲を見ては空想を膨らませ、渋滞の時間さえも楽しんでいる様子に、自分がまだ幼いこどもだった頃の日曜日のワクワクする感覚がよみがえってきた。平日は忙しく一緒の時間をなかなか過ごせない父親と郊外のキャンプ場へ出かけ、思う存分触れ合いたいというこどもの側から描かれた絵本だが、その目を通して、わが子をかけがえのない存在として大切に思う親の気持ちも十分に感じられるあたたかみのある絵本である。

●日本でのアピールポイント

本作『ぼくのパパはね・・・』は、韓国の国家行政機関である保健福祉部主催の「2021家族親和文化拡散のための絵本コンテスト」にて大賞を受賞した作品である。
平日は仕事で忙しい父母と、父母の休日が待ち遠しくて仕方がないこどもたち。この姿は、今や日本も韓国も変わらない。私自身時々、かつて韓国で苦楽を共にした韓国在住の仲間たちと会話をすることがあるが、保育園に入れるのも一苦労だとか、平日の疲れを癒す自分の時間もなく、家族やこどもたちと休日を過ごしているという、親となった今になって出てくる話題は、日本のママ友たちと会話をする内容と何ら相違ない。イラストレーター出身の絵本作家が、自らの夫と息子を思い浮かべながら描いたものだそうだが、そこには普遍的な親と子の愛情を感じる温かい物語が紡がれている。ぜひこの本を韓国だけでなく、日本のこどもたち、そして日本の親たちにも手に取ってもらいたいと思う。

(作成:三橋洋美)

パン・ソンヒ
ケウォン女子大学にてマルチメディアデザインを専攻し、卒業後はフリーのイラストレーターとして活動。絵本と単行本含む多様なメディアにてイラストを描いてきた。