短い小説の書き方 ~傷と悲しみを癒す小説創作案内書~(짧은 소설 쓰는 법~상처와 슬픔을 다독이는 소설 창작 안내서~)

原題
짧은 소설 쓰는 법
著者
イ・ムニョン
出版日
2021年4月10日
発行元
セヘムンチプ
ISBN
9791190893534
ページ数
223ページ
定価13,000ウォン
分野
人文

●本書の概略

小説家であり、青少年向けの作文サイトにて小説の書き方を指導した経験も持つ著者が、青少年のために書いた小説の書き方。
作文と聞いただけでも頭が痛くなる彼らに向かって、なぜ「小説」なのか。本書はその疑問に答えるところから始まり、登場人物の設定からプロット、背景、視点、文体、推敲に至るまで、小説を書く上で知っておかなければならない基本の全てを初心者にも分かり易く説いてくれる。あらゆるジャンルの文章を書いてきた著者らしく、ゲームや映画、童話やファンタジー小説など、様々なジャンルの文が例として示されていることも本書の魅力のひとつ。目の前で語りかけるような文章と、読者の疑問にタイミングよく答えながら進む展開で、最後まで一気に読める、エッセイのような指南書。

●目次

プロローグ_小説の力
1. 楽しい作文
2. 癒しの作文
3. 想像する作文
4. 共感する作文
#自分の話を書く前に
5. 誰に聞かせるのか―読者
6. アイデアはどこから来るのか―発想
#プロを目指す人へ
7. 書くことが無い?―テーマと素材
8. ありふれたストーリーになるのが怖いなら―プロット
#教訓は必要か
9. 自分の世界に招く方法―背景
10. 読者の心を掴む主人公の作り方―人物
11. 簡潔なほど面白い―会話
12. 誰が見ているように語るのか―視点
13. 正確な文章が与える感動―文体
14. 矛盾と間違いを見つける時間―推敲
エピローグ_恐怖心を捨てよう
参考資料

●日本でのアピールポイント

超学歴社会の韓国では朝から晩まで受験勉強に追われ、小説を読む暇もない青少年たち。そんな青少年に向けて著者は敢えて小説を書くことを勧めている。「文章を書くことは自分の内にあるものを外に出す行為であり、書くことによって学校や日常生活で誰にも癒されなかった心の傷を、自ら癒すことができる。そして小説は、日記のように事実を書かなくても、自分を架空の人物に置き換えても、道徳的でなくてもいい」という著者の言葉は、長引く経済不振やコロナ禍で、先の見通せない現状に不安を抱える日本の青少年の心にも響くことだろう。
「傷を癒すために文章を書くということは、それらを消し去るという意味ではなく、どうやって抱えて生きていくかを探るという意味だ」。小説の書き方を体系的に示しながら綴られる著者のメッセージは深く、温かい。文章の書き方を学びながら自然と勇気づけられる、実用と癒しを兼ねた一冊だ。

(作成:高上由賀)

イ・ムニョン
西江大学史学科卒業。情報文化センター主催ゲームシナリオ公募展にて最優秀賞を受賞。推理・SF・ファンタジー小説からゲームシナリオに至るまで、あらゆるジャンルの物語を書いている。著書に、青少年向け小説『オリジナルマン』、『いつの間にか仲間外れ』(共著)、童話『色を盗む魔女』、『新羅の探偵 ヨンダム』等多数。韓国文化芸術委員会青少年作文サイト「グルティン」で6年以上小説の書き方を指導し、現在は出版社の編集主幹として在職中。