●本書の概略
小学校ではもちろん、中学、高校、大学でも「働き方」なんて習わなかった。それなのに、突然ポンと投げ出されてしまった「職場」という世界――。
誰だって迷える新人時代を過ごし、上司や先輩後輩、同僚との人間関係に悩み、評価や配属に不満をもち、仕事と家庭の両立に苦労し、転職もすれば、産休・傷病休暇といった長期休暇を取ることもある。
本書の中で社会人なら誰もが経験しそうな具体的エピソードとともに、それらを乗り越えるための格言をくれるのは、著名人でも偉人でもない「普通の人たち」だ。
「会社にはバイト気分で行かないと」「都合よく使われたっていいじゃない? それって、本当はすごいことだよ」「自分の功績は口に出さなきゃ。会社はいちいち覚えてない」。
見出しには少しキャッチ―な響きの言葉も登場するが、エピソードや文体は「スカッと」というよりも、心にじっくり染みわたる印象だ。働き者人生は長い。マラソンのようにペース配分を考えながら、実のある時間を重ねるには、どんな姿勢で仕事にのぞみ、どんな人間関係を結んで、どんなスキルを身につけるべきか?新人には為になり、ベテランも納得できる一冊。
●目次
・プロローグ
・姿勢
・関係
・スキル
●日本でのアピールポイント
元記者ならではの人脈の広さと洞察力を活かして、会社員・経営者・フリーランサー・失職した会社員など、年齢も職種も置かれた立場も異なる、いろいろな働き者の格言を記した本書には、老若男女誰もが共感できるはずだ。
一撃必殺の言葉はない。だが、どれも会社勤めの経験があれば1度や2度は経験していそうなエピソードを普通の人が普通に切り抜けるのに役立つ言葉である。年齢や性別を問わず、「仕事」という枠さえ超えて、どんな人間関係にも通じる格言集と言えるだろう。実際に、一部の格言については、著者も自身のプライベートにからめて語る場面がある。
他人と何かを共有し、お互いに無理をすることなく、納得のいく成果を生み出すための小さなヒントが詰まった本書は、「いま」の自分を勇気づけ、「過去」を振り返って共感でき、「未来」や「未知」の領域についても気づきを与えてくれる。
仕事に疲れた友人や、社会人1年目の後輩にもプレゼントしたくなる本だ。
作成:渡辺麻土香