●本書の概略
「毎日毎日、あれもこれも、どこもかしこも、君も私も、みんな!へんてこりん。」
緑色の髪をした女の子、スサン。スサンの日常にはへんてこりんなことがいっぱい。毎朝、パパが作ってくれる緑色のジュースも、雨の日の蓮の池も、お昼寝から目覚めたばかりの部屋も、夜遅く帰ってきたママの匂いも、何もかもがへんてこりん。でも一番へんてこりんなのは、スサン。幼なじみのドゥグンに会うと、胸がドキドキしてしまう。
スサンという女の子の想像力は果てしない。身の回りのすべてのことが怪しく思え、スサンの頭の中にはスサン・ワールドが広がっている。スサンの子どもならではの溌剌とした想像力を通して、「へんてこりん」なことが次々に現れてくるけれども、最後にはスサン自身の淡い恋心へとつながっていく。
小学校入学前のこどもを対象として描かれている。その年頃のこどもたちが初めて異性を好きになり、そのドキドキする気持ちを、なんだか「へんてこりん」と表現して共感を誘っている。
●日本でのアピールポイント
見返しや裏表紙にも、ちょっとした仕掛けがあり、本を手に取った瞬間から、最後の最後まで楽しめる絵本になっている。また、読み手(大人)と子どもで、「へんてこりんなところ探し」をするのも楽しいに違いない。
著者自身が「好きな絵本作家を一人上げるとしたら、日本の長新太さん」と言っているように、ナンセンス作家として知られている長新太の作風に通じるものがある。シンプルでおしゃれな画風は、幼いこどもだけでなく、大人も自分が子どもだった頃を思い起こしながら楽しめる作品となっている。デビュー作のコミックエッセイで、20代、30代女性の等身大の日常を描き、同世代の女性から人気を集めた著者が、長い時間をかけて準備した最新作の絵本となる。
作成:田野倉佐和子