日本国内でも8万部を超える大ヒットとなった詩集『花を見るように君を見る』の著者、ナ・テジュの最新邦訳詩集『心がそっと傾く 』(ナ・テジュ/ 著、黒河星子訳)です。
本作は、韓国ドラマ『ロマンスは別冊付録』でも登場し、話題を集めていた作品です。今回もまたシンプルながらも心優しい言葉の数々とページを彩る美しく柔らかなタッチのイラストで、すぅーっと心が落ち着いてくるようです。
「根っこの力」という一篇の詩の最後のこの一節がなぜか胸に残りました。
ぼくらは たとえ知らなくても
よくわからないと言っては
いけない
知らないことを「よくわからない」と言ってしまうのだなと気づかされたような気持ちになったからかもしれません。
翻訳を担当された黒河星子さんから推薦のコメントを頂戴しました。
草花や木々、鳥や魚、空に浮かぶ雲。家族や身近な人々、旅先で出会った異国の少女、そして歴史上の人物まで。目に映るすべてのものに注がれるナ・テジュさんの素朴で温かい眼差しが、いつの間にか複雑に拗れてしまっていた心を、ゆっくりと解きほぐしてくれます。本書の詩に触れているあいだは、時間がゆるやかに流れ、世界を見る目も優しくなる。装画の愛らしいアネモネのイラスト、挿絵の素敵な花々や風景とともに、この詩集を手に取ったみなさんにも、そんな気分を味わっていただけるとうれしいです。(黒河星子)