『破砕』(ク・ビョンモ/著、小山内園子/訳、岩波書店)

65歳の女殺し屋が主人公として登場し、大きな話題を呼んだミステリー小説『破果』の外伝小説。あの女主人公、爪角(チョガク)はいかにして生まれたのか、を知ることのできるとともに、作家のことば、ク・ビョンモインタビュー、さらには日本の作家深緑野分さんによる解説も加わり、さらに作品世界をさまざまな角度で楽しめる一冊に仕上がっています。『破砕』を読んで『破果』を読んで、またその逆もあって、と無限ループが始まりそうです。

翻訳者の小山内園子さんから推薦コメントを頂戴しました。

「今思うと、あの時が人生の分かれ道だった」。そう思える瞬間が、誰しも一度くらいはあるのではないでしょうか。
稼業ひとすじ45年の女殺し屋、爪角【チョガク】にとっては、外伝『破砕』に切り取られた数週間こそ、そうした場面だったのだと思います。深い森。師と二人きり。死と隣り合わせ――。十代の爪角の選択は、生きることの凄みも感じさせてくれます。
本編以外にも、『破果』『破砕』2作を熱く語るク・ビョンモさんのインタビュー記事、小説家・深緑野分さんの解説など、贅沢なラインナップです。『破果』を読まれた方はぜひ! そうでない方はぜひ『破砕』から!! お楽しみください。

(小山内園子)

『破砕』(ク・ビョンモ/著、小山内園子/訳、岩波書店)