『BLONOTE』(タブロ/著、清水知佐子/訳、世界文化社)

韓国ヒップホップグループEPIK HIGHのリーダー・タブロによる『BLONOTE』。韓国で2016年に発売されて以来ベストセラーとなり、邦訳が待たれていましたが、ついに清水知佐子さんの訳で、世界文化社から出版されました。
スタンフォード大学英文学科の修士課程も修了するという華やかな学歴をもち、韓国ヒップホップ界に多大なる影響を与え、作詞、作曲とマルチに活躍するタブロ。1頁に1つの短いメッセージは、寸鉄人を刺すようなドキリとする言葉もあれば、だれかに何かにまた恋をしたくなるような言葉もあり、様々な活躍に裏打ちされたタブロの文学を心ゆくまで堪能できます。鳥居咲子さんによる解説もとても充実していて、タブロの順風満帆な活躍だけでなく、波瀾万丈の人生も知ることができました。
訳者の清水知佐子さんからメッセージを頂戴しましたので、ご紹介します。

著者のタブロさんは、韓国のヒップホップグループEPIK HIGH(エピックハイ)のリーダーであり、ラッパーであり、2003年のデビュー以降、韓国のヒップホップ界をけん引してきた人物です。本書は、著者がパーソナリティを務めていたラジオの深夜番組「タブロと夢見るラジオ」で毎回、「おやすみ」のあいさつ代わりに読み上げていた短い文章を集めたもので、肩をトントンとたたいて慰めてくれる優しいことば、自分の生き方をはっと振り返らせてくれる激励のことば、社会を風刺する鋭いことばが詰まった玉手箱のような一冊。どのことばにもウィットがきいていて、ベッドに入って一日を振り返りながら一つひとつ読んでいると、深い思考へと誘われる一方で心がふわっと軽くなっていきます。著者は、スタンフォード大学在学中に短編小説『あなたのかけら』も書いていて、アメリカ人作家トバイアス・ウルフに絶賛されたほど。そんな彼の文学的センスも感じていただけると思います。(清水知佐子)

『BLONOTE』(タブロ/著、清水知佐子/訳、世界文化社)