『わたしの心が傷つかないように』(ソルレダ/著 李聖和/訳 日本実業出版社)

やわらかな黄色いページが印象的なエッセイ『わたしの心が傷つかないように』(ソルレダ/著、李 聖和/訳、日本実業出版社)。著者ソルレダさんが、黄色い紙に左右の耳の長さが異なるウサギのソルトとソルトの親友ニンジンを描き、悲しみや喜び、悔しさなど日々の思いを「感情メモ」と名付けて10年以上もつづってきた文章です。ひとりでいたいけど、ひとりになりたくないときに素朴なソルトがそっと寄り添ってくれます。訳者の李聖和さんからメッセージを頂戴しましたので、ご紹介します。

日本実業出版社のnoteで日本語版の刊行にあたって頂戴したソルレダさんのメッセージを読むことができます。 noteはこちら

このタイトルに惹かれるのは、誰もが日常生活で、多少なりとも生きづらさを感じているからではないでしょうか。
家庭、学校、会社など、さまざまな場面で期待される「役割」に自分を無理に合わせようとするあまり、「あるべき」姿になれないと自己嫌悪に陥ってしまう。
自分のことはいつも後回しなので、自分が感じている辛さや苦しさに蓋をしてしまい、自分がなにを望んでいるのか、なにになりたいのかわからなくなってしまう。
そういった窮屈さを、私たちは知らず知らずのうちに感じているのかもしれません。
そのモヤモヤした心が、生きづらさの正体なのではないでしょうか。
本書は、そういった感情を抱くのは、恥じることでも負い目を感じることでもない、誰にでもあり得ることなんだよと、やさしく寄り添ってくれます。
ページの端々に添えられた、ウサギの「ソルト(ソルレダトッキ:ときめきウサギ)」と、ソルトの親友「ニンジン」のイラストが、私たちの心の影をそっと描き出し、隅っこに追いやられていた大切な感情に気づかせてくれるでしょう。
本書は、BTS(防弾少年団)のJ-Hopeさんの愛読書として話題になりましたが、まさにBTSの代表曲「Love Yourself」のメッセージがそのまま詰まっている一冊です。
自分という存在はなによりも尊いということ、ありのままの自分を認めることの大切さを考えるきっかけになればと思います。
この本を手に取ってくださった方々が、うつむいてばかりではなく、軽やかな気持ちで前を向けますように!(李聖和)

『わたしの心が傷つかないように』(ソルレダ/著 李聖和/訳 日本実業出版社)