教保文庫、2026年6月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)

教保文庫の2026年6月の月間ベスト10および注目の新刊(韓国小説)をご紹介します。
カナダ在住の作家イ・キョンジンが移民としての視点を折り込んだデビュー作が初登場で4位にランクインしました。注目の新刊では、「2024年本屋大賞」で翻訳小説部門1位に輝いた『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の著者ファン・ボルムの新作長編小説などを取り上げています。

1位『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』キム・エラン著(文学トンネ/2025.6.20)

2位『수족관(水族館)』ユ・レヒョク著(ポスターショップ/2024.01.11)

3位『모순(矛盾)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)

4位『리치먼드힐의 이층 버스(リッチモンドヒルの2階建てバス)』イ・キョンジン著(ブックプレジャー/2026.6.10)
カナダ・リッチモンドヒルで暮らすミンジョン。豪雨の夏の日、息子のタミが事故によりこん睡状態に陥ってしまう。絶望の淵に立つミンジョンの前に、ある日突然現れた2階建てバス。奇妙な運転手が操るそのバスは、現在と過去を行き来できる不思議な乗り物だった。ミンジョンはこのバスに乗り、自分とタミの運命を変えることができるのだろうか――。思わぬ展開が心を揺さぶるヒーリング小説。

 

 

5位:『자몽살구클럽(チャモンサルグクラブ/グレープフルーツアプリコットクラブ)』ハンロロ著(オーセンティック/2025.7.25)

6位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)

7位:『혼모노(ホンモノ)』ソン・ヘナ著(チャンビ/2025.3.28)

8位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)邦訳『少年が来る』(井手俊作訳/クオン)

9位:『제17회 젊은작가상 수상작품집2026(第17回若い作家賞受賞作品集2026)』キム・チェウォンほか著(文学トンネ/2026.3.31)

10位:『구의 증명(クの証明)』(リカバリー版)チェ・ジニョン著(ウネンナム/2023.4.26)

注目の新刊

『윗집 부부 (上の階の夫婦)』ファン・ボルム著/クレイハウス/2026.6.24
『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(牧野美加訳/集英社/2024)の著者による待望の新作長編小説が刊行されました。不愛想で頑固だが情に厚い老年男性のオ・キョンジクは、韓国が「超少子化国家になった」というニュースに衝撃を受ける。若い世代が子どもを持たない現状に思いを巡らせるうち、上の階に住む若い夫婦に関心を抱き、思い切って声をかけてみようと決心する。極端な少子化に揺れる韓国社会を背景に、マンションの上下階に住む老年男性と若い夫婦が、少しずつ互いを理解していく物語です。

 

 

『꿈이다 아니다(夢だ、いや夢ではない)』キム・ジュンヒョク著/アノンブックス/2026.7.1
人間の夢を保存・解析する企業「ダリ」。 資本・宗教・技術が結びついて生まれたその巨大な悪は、人々を永遠に夢の中へ閉じ込め、その肉体を売買しようと企む。やがて世界は、夢を利用して偽りの楽園を提供する「ガラ」というサービスに溺れていく――。世の中の悲しみを軽やかに癒す作家、キム・ジュンヒョクが描く、壮大かつ精巧なディストピア小説。日本語で読める著者の作品には、『楽器たちの図書館』(波多野節子・吉原育子訳/クオン/2011)、『ゾンビたち』(小西直子訳/論創社/2017)』があります。

(文/高上由賀)