
教保文庫の2026年7月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。3位には、自閉スペクトラム症の息子を育てる父親のエッセイがランクインしました。注目の新刊では、『大仏ホテルの幽霊』『大丈夫な人』などで知られるカン・ファギルの初エッセイを紹介しています。
1位::『불안(不安)』アラン・ド・ボトン著、チョン・ヨンモク訳(2012.01.04、初版:2011.12.28/ウネンナム)
2位:『행복할 거야 이래도 되나 싶을 정도로(幸せになれるはず、不安になるほどに)(10万部記念教保文庫単独リカバー)』イルホン(ブクロム/2024.07.29)
3位:『안녕, 피터팬(さよなら、ピーターパン)』チョン・ギョンチョル(イヤギジャンス/2026.06.26)
男手一つで自閉スペクトラム症の息子を育ててきた父親は、余命宣告を受けたことをきっかけに韓国中の施設を訪ね歩きますが、自分の死後に息子を受け入れてくれる場所が見つからず、「息子を連れていくしかない」とまで考えるようになりました。それでも、同じ苦しみを抱える障がい者家族が二度と孤立しないようにという願いを込めて「ピーターパン財団」の設立という新たな目標へと歩みを進めます。本書は、死を目前にした父親が人生を振り返り、息子との壮絶な日々を綴った記録であると同時に、障がい者が置かれている状況について社会に問いを投げかけています。
4位:『구원에게(救いへ)』チョン・ヨンウク(ブクロム/2026.02.05)
5位:『다정한 사람이 이긴다(스페셜 양장 리커버판)(優しい人が勝つ(スペシャルハードカバーリカバー版))』イ・へイン(Feelm/2026.04.15)
6位:『사춘기 엄마의 오장육부(思春期ママの五臓六腑)』ナ・ミネ(ソギョチェクパン/2026.04.20)
7位:『너를 아끼며 살아라(君を大切にしながら生きて)』ナ・テジュ(ダブルブック/2025.06.12)
8位:『결혼ㆍ여름(結婚・夏)』アルベール・カミュ著、チャン・ソミ訳(緑色光線/2023.08.04)
『異邦人』などで知られるカミュの自伝的エッセイ集です。学校に通うもの難しかった貧しい幼少期から10代で患った肺結核、早すぎる結婚と破局など、カミュの挫折に満ちた青春時代に触れられます。感覚的で官能的な文体が魅力の一冊です。
9位:『어른의 행복은 조용하다(40만 부 기념 스페셜 리커버)(大人の幸せは静かだ(40万部記念スペシャルリカバー))』テス(ページ2ブックス/2024.11.04)
10位:『달리기를 말할 때 내가 하고 싶은 이야기(走ることについて語るときに僕の語ること)』村上春樹著、イム・ホンビン訳(文学思想/2016.12.15)
注目の新刊
『낭만적으로 산다(ロマンチックに生きる)』カン・ファギル(文学トンネ/2026.07.24)
『大仏ホテルの幽霊』『大丈夫な人』(ともに小山内園子訳、白水社)などで知られるカン・ファギルの初エッセイが出版されました。身体の不調や、作家として生きることへの不安を抱えながらも、「いまこの瞬間を大切にし、精一杯努力して自分の中の何かを引き出しながら生きる」ことが著者にとっての「ロマン(浪漫)」だといいます。つらい時間を耐え抜くための「鎮痛剤」として文学や映画を求め、執筆の苦しみを抱えながらも小説を書き続けてきた軌跡が赤裸々に綴られています。(文/金知子)
