教保文庫の11月のエッセイ月間ベスト10と注目の近刊情報をご紹介します。『日常の言葉たち』(牧野美加訳、葉々社、2024年)、『子どもという世界』(オ・ヨ ンア訳、かんき出版、2003年)など邦訳書も出版されている著者による「大人」についてのエッセイが10位にランクインしました。注目の近刊では、60歳を過ぎ、「人生の第二幕」について考えるためのエッセイを紹介しました。
1位:『어른의 행복은 조용하다(大人の幸せは静かだ)』テス(ページ2ブックス/2024.11.04)
2位:『우리는 사랑 안에 살고 있다(私たちは愛の中に生きている)』ユ・ヘジュ、チョ・ジョンヨン(21世紀ブックス/2024.11.21)
登録者数85万人のYouTubeチャンネル「リジュライク」を運営する夫婦による初のエッセイが出版されました。出会いから結婚、妊娠、出産、育児など多くの過程を経て、愛の中で成長していく家族の日常が綴られています。
3位:『나의 인생만사 답사기(私の人生万事踏査記)』ユ・ホンジュン(チャンビ/2024.11.01)
『私の文化遺産踏査記』(大野郁彦訳、法政大学出版局、2000年)や『日本の中の朝鮮をゆく』(橋本繁訳、岩波書店、2005)など邦訳書も出版されている著者による30年ぶりのエッセイが出版されました。「文化遺産の伝道師」として知られる彼は、これまで数多くのベストセラーを生み出してきた作家でもあります。「いい文章を書くためのアドバイス」から「大学時代のテストの答案公開」「歌手のキム・ミンギへの追悼の言葉」など、著者の人生が詰まった一冊です。
4位:『행복할 거야 이래도 되나 싶을 정도로(幸せになれるはず、不安になるほどに)』イルホン(ブクロム/2024.07.29)
5位:『삶을 견디는 기쁨(人生を耐え抜く喜び)』(リカバー:K)ヘルマン・ヘッセ/ユ・ヘジャ訳(文芸春秋社/2024.02.28)
6位:『당신에게 분명 좋은 일만 생길 거예요(あなたにきっと良いことしかやってこないはず)』イ・スルビ(タダムブックス/2024.05.13)
「今つらいのは、幸せに向かうための過程なのだ」「吹きすさぶ風や冷たい雨、灼熱の太陽に耐えれば最後に芽は出る」など、ポジティブな言葉で疲れた心を癒してくれるエッセイです。表紙には名前が書き込めるスペースが用意されているので、プレゼントとしても人気です。
7位:『나는 메트로폴리탄 미술관의 경비원입니다(私はメトロポリタン美術館の警備員です)』(20万部記念洋装エディション)パトリック・ブリンリー/キム・ヒジョン、チョ・ヒョンジュ訳(ウンジン知識ハウス/2023.11.24)
8位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』(20万部記念)キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
9位:『어떤 비밀(ある秘密)』チェ・ジニョン(ナンダ/2024.10.25)
最近、初の邦訳書『ディア・マイ・シスター』(すんみ訳、亜紀書房、2024年)が出版された著者による初のエッセイです。啓蟄から雨水まで二十四節気に送る手紙をしたため、それぞれに文章を加えて完成した本書は、これまで著者が世に送り出してきた作品のエピローグであるともいいます。作家として生きることになった「秘密」=「愛する気持ち」が余すところなく綴られています。
10位:『어떤 어른(ある大人)』キム・ソヨン(サゲジョル/2024.11.13)
『日常の言葉たち』(牧野美加訳、葉々社、2024年)、『子どもという世界』(オ・ヨ ンア訳、かんき出版、2003年)など邦訳書も多数出版されている著者が、今度は「大人」について書きました。子どもたちと同時代を生きる大人として、また子どもが成長していく過程において求められる役割を探ります。
注目の近刊
『60, 다시 쓰는 청춘 일기(60、再び書く青春日記)』クォン・ブグィ(ミダスブックス/2024.12.11)
著者はこれまで、大病を乗り越え、数多くの山に登り、60を過ぎて大学を卒業して作家に挑戦するなど、どんな時もチャレンジ精神心を忘れませんでした。「老年」の始まりを迎えた読者に向けて、家族や友人関係、健康、死などあらゆるテーマで「人生の第二幕」を始めるためのアドバイスを伝えます。(文/金知子)