教保文庫の2024年10月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。ハン・ガンのノーベル文学賞受賞の快挙に沸く韓国。月間ランキングでも10位以内にハン・ガンの作品が7作ランクインしました。注目の新刊は『エディ、あるいはアシュリー』(古川綾子訳/亜紀書房)の著者による長編小説を取り上げています。
1位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)光州事件の綿密な取材に基づく長編小説。邦訳書『少年が来る』(井出俊作訳/クオン)が出版されています。
2位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ/2022.3.28)マン・ブッカー国際賞受賞作。邦訳書『菜食主義者』(きむふな訳/クオン)が出版されています。
3位:『작별하지 않는다(別れを告げない)』ハン・ガン著(文学トンネ/2021.9.9) 2024年10月末時点での最新刊で、済州4・3事件を題材にした長編小説です。邦訳書『別れを告げない』(斎藤真理子訳/白水社)が出版されています。
4位:『흰(すべての白いものたちの)』ハン・ガン著(文学トンネ/2018.4.25)詩的で軽やかな一冊。邦訳『すべての白いものたちの』(斎藤真理子訳、河出書房)は文庫版もあります。
5位:『희랍어 시간(ギリシャ語の時間)』ハン・ガン著(文学トンネ/2011.11.10)言葉を失った女性と視力を失っていく男性の物語。邦訳書『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳/晶文社)があります。
6位:『디 에센셜: 한강(ジ・エッセンシャル:ハン ガン)』 ハン・ガン著(文学トンネ/2023.6.1) 未邦訳。文学トンネが刊行している作家別の厳選作品集「ジ・エッセンシャル」シリーズの1冊で、長編小説『ギリシャ語の時間』の他、短編小説2編、エッセイ8編、詩5編が収録されています。
7位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
8位:『여수의 사랑(麗水の愛)』ハン・ガン著(文学と知性社/2018.11.9)未邦訳。幼い頃に父親が妹とともに心中した事件をきっかけに潔癖症に苦しむ女性が、辛い記憶の生まれた地である韓国南部の麗水(ヨス)へと向かう物語です。
9位:『급류(急流)』チョン・デゴン著(民音社/2022.12.22)
10位:『빛이 이끄는 곳으로(光の導く場所へ)』ペク・ヒソン著(ブックロマンス/2024.8.21)
https://store.kyobobook.co.kr/bestseller/total/monthly/korean-novel
注目の新刊は以下のとおりです。
『화성의 아이(火星の子)』キム・ソンジュン著(文学トンネ/2024.10.15)
若い作家賞や現代文学賞など多くの文学賞を受賞し、昨年には短編集『エディあるいはアシュリー』が邦訳刊行された韓国ファンタジーの旗手キム・ソンジュン初の長編小説です。300年後の未来の火星を舞台にした物語で、既に邦訳されている「火星の子」(斎藤真理子訳『ヒョンナムオッパへ』所収、白水社)と「未来は長く続く」(斎藤真理子訳、『覚醒するシスターフッド』所収、河出書房新社)を含む連作長編小説です。(文/高上由賀)