教保文庫の10月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。『1cmダイビング 自分だけの小さな幸せの見つけ方』(岡崎暢子訳/宝島社)の著者による新作エッセイが1位にランクインしました。注目の新刊では、コシウォン運営のあれこれを綴ったエッセイを紹介しています。
1位:『어른의 행복은 조용하다(大人の幸せは静かだ)』テス(ページ2ブックス/2024.11.04)
著書の累積販売数が25万部にもなる人気作家で、邦訳書『1cmダイビング 自分だけの小さな幸せの見つけ方』(岡崎暢子訳/宝島社)も出版されている著者による2年ぶりの新作エッセイです。感情や環境に振り回されながら幸せを探し求めるのではなく、何事もなく平穏な一日を過ごせることが幸せだと気づくこと、浮き沈みの少ない静かな日々に幸福を感じることが賢く生きるコツであると教えてくれます。
2位: 『삶을 견디는 기쁨(人生を耐え抜く喜び)』(リカバー:K)ヘルマン・ヘッセ/ユ・ヘジャ訳(文芸春秋社/2024.02.28)
3位:『유랑하는 자본주의자(流浪する資本主義者)』流浪の人イム・ヒョンジュ
家を処分し仕事も辞め、夫と2人で世界を旅するユーチューバーによる「レールから外れた」生き方の可能性を探るエッセイです。いい大学に入り、安定的な仕事を得た著者でしたが、30歳を迎えた頃にふと「所有物=自分」だと錯覚していたことに気づきます。その後、所有しない生活を選択した著者は、退職金や家の売却代金で投資を始めると同時に旅に出ます。「資本主義の利点を活かした別の生き方を探る」実験の記録です。
4位:『행복할 거야 이래도 되나 싶을 정도로(幸せになれるはず、こんなに幸せでいいのかと思うくらい)』イルホン(ブクロム/2024.07.29)
5位:『압도하라 타이거즈(圧倒せよ、タイガース)』オ・ヒョジュ、イ・ボムホ(ブレインストア/2024.11.01)
韓国プロ野球の名門チームであるKIAタイガースは、今年7年ぶりにペナントレースを制しました。本書は、監督イ・ボムホへのインタビューを始め、選手やチームのビハインドストーリーを通じて王者に返り咲いたチームの強さに迫ります。
6位:『예술 도둑(美術泥棒)』マイケル・フィンケル著、ヨム・ジソン訳(センガゲヒム/2024.09.20)
実勢3000億円とも言われる美術品を盗んだ男。その華麗な手口と美への執着を暴くノンフィクションです。邦訳書『美術泥棒』(古屋美登里訳、亜紀書房)も出版されています。
7位:『나는 메트로폴리탄 미술관의 경비원입니다(私はメトロポリタン美術館の警備員です)』パトリック・ブリンリー/キム・ヒジョン、チョ・ヒョンジュ訳(ウンジン知識ハウス/2023.11.24)
8位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』(20万部記念)キム・スヒョン(ハイスト/2022.11.25)
9位:『당신은 결국 무엇이든 해내는 사람(君は結局何でもやり遂げる人)』(10万部記念特別リカバーエディション)キム・サンヒョン(Feelm/2022.04.20)
10位:『허송세월(虚送歳月)』キム・フン(ナナム/2024.06.20)
注目の新刊
『따로 또 같이 고시원, 삽니다(それぞれ、または一緒にコシウォン、生きています)』チンダム(アイディアブックス/2024.10.17)
持ち家に住み、大企業に勤めながら幸せな生活を送っていた著者は、子どもの入院をきっかけに再び人生について考えます。「一日2時間、週に4時間働けば1千万ウォンが稼げる!」という広告を見て飛び込んだのは「コシウォン運営」の道でした。しかし、苦情への対応やゴミだらけの部屋の後片付けなど苦しく大変なことばかり。その時に手を差し伸べてくれたのはコシウォンの入居者たちでした。彼らの人生や生き様、優しさに触れながら著者が感じた喜怒哀楽が詰まったエッセイです。
※コシウォン:もともとは国家試験などの勉強に打ち込むための宿泊施設だったが、保証金なしで入居できるため、現在は貧困層の住まいともなっている。漢字では「孝試院」と書く。(文/金知子)