教保文庫、5月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の5月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。1位はキム・ヨンハの新作長編『別れの挨拶』でした。世界的な作家の代表的な小説やエッセイを一冊にまとめた文学トンネのキュレーションシリーズから、韓国人作家第一弾としてハン・ガンの作品集が刊行されました。『黒山』のキム・フン、『ギター・ブギ・シャッフル』のイ・ジン両作家もそれぞれ短編集、長編小説を発表しました。

1位:『작별인사(別れの挨拶)』キム・ヨンハ著(ポクポクソガ/2022.5.2)
2位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(40万部記念 桜エディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
3位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』(夏の森エディション)ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
4位:『2022 제13회 젊은작가상 수상작품집(2022 第13回若い作家賞受賞作品集)』イム・ソラほか著(文学トンネ/2022.4.8)
5位:『저주토끼(呪いのウサギ)』(改訂版)チョン・ボラ著(アジャク/2022.4.1)
6位:『책들의 부엌(本たちのキッチン)』キム・ジヘ著(ファクトリーナイン/2022.5.12)
7位:『칵테일, 러브, 좀비(カクテル、ラブ、ゾンビ)』(リカバー版)チョ・イェウン著(安全家屋/2020.4.13)
8位:『애쓰지 않아도(ごく自然に)』チェ・ウニョン著(マウム散策/2022.4.30)
9位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
10位:『아몬드(アーモンド)』(100万部記念特別版)ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2022.5.12)

注目の新刊は以下のとおりです。
『디 에센셜 한강(The essential ハン・ガン)』ハン・ガン著(文学トンネ/2022.5.30)
世界的な作家の代表的な小説やエッセイを一冊にまとめたキュレーションシリーズ「The essential」は、これまでにジョージ・オーウェルやヴァージニア・ウルフ、太宰治、アーネスト・ヘミングウェイなどを取り上げてきました。「センセーション」をキーワードとした韓国人作家編の第一弾は、1993年の文壇デビュー以来、生の根源的な問いに正面から向き合ってきたハン・ガンです。長編小説1編、短篇小説2編、詩5編、エッセイ8編が収録されています。

『저만치 혼자서(そこにひとりで)』キム・フン著(文学トンネ/2022.6.1)
孤将』(蓮池薫訳、新潮社)、『南漢山城』、『黒山』(戸田郁子訳、クオン)などの長編小説を精力的に書いてきたキム・フンによる16年ぶり、2作目となる短編集です。表紙には「わたしは一人の隣人としてこれを書いた」という直筆の文章が記されています。

『언노운(UNKNOWN)』イ・ジン著(ヘネム出版社/2022.5.25)
『ギター・ブギー・シャッフル』(岡裕美訳、新泉社)でおなじみのイ・ジン作家の新作長編。主人公は性的アイデンティティーや性的指向に悩む高校1年生のウヒョン。生物学的には男性として生まれたけれど自分を男性とは思っておらず、かといって女性とも思えない。葛藤しながら、本当の自分を見つけていく過程を描いた成長物語です。

『다이브(ダイブ)』タニョ著(チャンビ/2022.5.27)
2057年、洪水で水に沈んだ韓国を舞台に、少女と機械人間が失くした記憶を探しにいく、成長と回復の物語。著者のデビュー作です。イ・ヒヨン著『ナナ』やチョン・ソンラン著『ナイン』、パク・ソヨン著『スノーボール』、ク・ビョンモ著『ウィザードベーカリー』に続くチャンビのYAシリーズ「小説Y」の最新刊です。(文/牧野美加)