教保文庫、2月の月間ベストと注目の新刊、近刊(韓国通信)

教保文庫の2月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。2015年に刊行されたチェ・ジニョン著『クの証明』が、読者の口コミでここに来て大きな注目を集めています。

1位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(15万部記念ウィンターエディション)キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
2位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』(100万部記念合本版)イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.12.25)
3位:『어서 오세요, 휴남동 서점입니다(いらっしゃいませ、ヒュナム洞書店です)』ファン・ボルム著(クレイハウス/2022.1.17)
4位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
5位:『달러구트 꿈 백화점2(ダラグート 夢の百貨店2)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.7.27)
6位:『지구 끝의 온실(地球の果ての温室)』キム・チョヨプ著(ジャイアントブックス/2021.8.18)
7位:『밝은 밤(明るい夜)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2021.7.27)
8位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
9位:『구의 증명(クの証明)』チェ・ジニョン著(ウネンナム/2015.3.30)
幼いころから共に過ごしてきたク(男性)とタム(女性)。ある日突然クが死を迎え、タムは自分なりのやり方で彼を弔います。愛する恋人の突然の死のあとに訪れる喪失や哀悼の過程を通して、生と死の意味を問う物語です。ウネンナムの中編小説シリーズの一冊として刊行された2015年当時の販売部数は年間2,000部ほどでしたが、2020年に6,000部、2021年は35,000部、今年に入ってすでに15,000部と、ここに来て大きな注目を集めています。出版社によると、特別なマーケティングをしたわけでも、芸能人が言及したわけでもなく、読者の感想が口コミのように広がっていった結果だそうです。
10位:『완전한 행복(完全な幸福)』チョン・ユジョン著(ウネンナム/2021.6.10)

注目の新刊、近刊は以下のとおりです。
『마음에 없는 소리(心にない言葉)』キム・ジヨン著(文学トンネ/2022.3.10)
7人の審査委員の満場一致という異例の受賞で話題となった2018年文学トンネ新人賞受賞作や、2021年、2022年の若い作家賞受賞作を含む9編を収録した短編集です。

『다섯 번째 감각(五番目の感覚)』キム・ボヨン著(アジャク/2022.2.10)
SF作家キム・ボヨンの初期の短編集2作『進化神話』『遠くへ行く物語』(いずれも2010年)のうち、単行本として刊行されたか刊行予定のものを除く10編が収録されています。第1回科学技術創作文芸大賞を受賞したデビュー作「触覚の経験」も含まれています。

『진화 신화(進化神話)』キム・ボヨン著(エディトリアル/2022.3.15)
2010年刊行の短編集の表題作であった本作が、イラストレーターのキム・ホンニムの挿画入りで新たに単行本として刊行されます。ヘルマン・ヘッセの『デミアン』の「ついに人間にならず、カエルやトカゲやアリにとどまるものも少なくない」という一節からインスピレーションを得て、「一つの生において生物のすべての進化過程を経ながら成長していく人間」を想像して書いた作品です。(文/牧野美加)