教保文庫、9月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の9月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊をご紹介します。『誰でもない』『野蛮なアリスさん』『ディディの傘』『続けてみます』など邦訳書も多いファン・ジョンウンの初エッセイ集『일기(日記)』も刊行前から大きな注目を集めています。

1位:『달러구트 꿈 백화점2(ダラグート 夢の百貨店2)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2021.7.27)
2位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』(50万部記念ドリームエディション)イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
3位:『작별하지 않는다(別れられない)』ハン・ガン著(文学トンネ/2021.9.9)
4位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』キム・ホヨン著(ナムヨップウィジャ/2021.4.20)
5位:『지구 끝의 온실(地球の果ての温室)』キム・チョヨプ著(ジャイアントブックス/2021.8.18)
6位:『밝은 밤(明るい夜)』チェ・ウニョン著(文学トンネ/2021.7.27)
7位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
8位:『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면(私たちが光の速度で進めないなら)』キム・チョヨプ著(ホブル/2019.6.24)
9位:『홍천기. 1(紅天機/ホンチョンギ)』(リカバー版)チョン・ウングォル著(パランメディア/2021.8.20)
朝鮮時代に実在した女性画工・洪天起(ホン・チョンギ)をもとにした物語で、今年8月から放送されている同名のSBSドラマの原作です。
10位:『모순(矛盾)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)

注目の新刊は以下のとおりです。
1차원이 되고 싶어(一次元になりたい)』パク・サンヨン著(文学トンネ/2021.10.8)
大都会の愛し方』(オ・ヨンア訳/亜紀書房)などで知られる著者の初の長編小説。韓国の地方都市を舞台とした10代のクィア「わたし」の物語です。友人ユンドへの愛、自由奔放なムニへの憧れにも似た友情が「わたし」の声で語られます。

2021 김승옥문학상 수상작품집(2021金承鈺文学賞受賞作品集)』ムン・ジニョンほか著(文学トンネ/2021.10.5)
デビュー10年以上の作家が発表した短編の中から優れた作品に贈られる賞です。今年は前年より25%増の184編が審査対象となりました。大賞のムン・ジニョン「二つの部屋」を含む計7人による7編の受賞作が収録されています。

나나(ナナ)』イ・ヒヨン著(チャンビ/2021.10.1)
毎日を一生懸命に生きる17歳の模範生スリと、誰にでも優しい16歳のウルリュは交通事故に遭い、魂が肉体から分離してしまいます。一週間以内に肉体に戻れなければあの世に連れていかれるという運命。肉体から離れた二人の魂は自分自身を観察し、本当の自分の姿に気づいていきます。チャンビのYAシリーズ「小説Y」第一弾です。韓国で30万部を記録した著者のYA『ペイント』は来月、邦訳本(小山内園子訳/イースト・プレス)の刊行が予定されています。『ペイント』邦訳版の特設サイトはこちら

언니에게 보내는 행운의 편지(姉さんに送る幸運の手紙)』(チャンビ/2021.9.17)
チョン・セラン、キム・イニョン、ソン・スヒョン、イ・ラン、イ・ソヨン、イバンチハ、ハ・ミナ、キム・ソヨン、ニッキ・リー、キム・ジョンヨン、ムン・ボヨン、キム・ギョウル、イム・ジウン、イ・ヨン、ユ・ジンモク、チョン・ヒジン、オ・ジウン、キム・イルラン、キム・ヒョウン、キム・ホンビ著
小説家、音楽監督、ミュージシャン、漫画家、You Tubeクリエイター、俳優、学者、クィアパフォーマンスアーティスト、ドキュメンタリー監督、詩人、植物精密画家、記者。創作活動をする20人の女性それぞれが、自分にとっての「オンニ(姉さん)」にあてて書いた手紙が一冊の本になりました。累積アクセス数20万という人気のニュースレターの書籍化です。

세계를 건너 너에게 갈게(世界を超えて私はあなたに会いに行く)』(10万部記念特別版)イ・コンニム著(文学トンネ/2021.9.24)
母のいない少女ウニュのもとに、1982年を生きる別の少女ウニュから手紙が届く。その手紙には母を探しだしてくれるとあるが……。2018年の刊行以降10万部を突破したのを記念した特別版です。第8回文学トンネ青少年文学賞大賞受賞作で、ドラマ・映画化も決まっています。間もなく邦訳本(矢島暁子訳/KADOKAWA)も刊行予定です。

작은 별이지만 빛나고 있어(小さな星だけど輝いている)』(10万部記念限定版)ソ・ユン著(ブックロマンス/2021.9.29)
平凡に思える日常も実は星のように光り輝いていることに気づかせてくれるエッセイ。今年3月の刊行直後から大きな人気を集めています。10万部突破を記念してリカバー版が刊行されました。

일기(日記)』ファン・ジョンウン著(チャンビ/2021.10.18刊行予定)
『誰でもない』『野蛮なアリスさん』『ディディの傘』『続けてみます』など邦訳書も多いファン・ジョンウンの初エッセイ集です。コロナ禍でも咲き誇る庭の花々や、幼い親戚の落書きの内容に興味津々の著者の姿など日常の中からすくい取ったエピソードをはじめ、児童虐待による死亡事件や木浦港で見たセウォル号の船体(海底から引き揚げられた船体は現在、木浦新港に据え置かれている)に対する思いに至るまで、著者の幅広い「心の地図」が描かれています。チャンビの新シリーズ「エッセイ&」第一弾です。(文/牧野美加)