教保文庫、3月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の3月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊をご紹介します。

1位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
2位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
3位:『아버지에게 갔었어(父のところに行ってきた)』申京淑(シン・ギョンスク)著(チャンビ/2021.3.5)
4位:『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면(私たちが光の速度で進めないなら)』キム・チョヨプ著(ホブル/2019.6.24)
5位:『시선으로부터,(シソンから、)』チョン・セラン著(文学トンネ/2020.6.5)
6位:『모순(矛盾)』梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)
7位:『2061년(2061年)』二人化(イインファ)著(ストーリーフレンズ/2021.2.15)
李箱文学賞を受賞した「시인의 별(詩人の星)」や歴史ミステリー『영원한 제국(永遠なる帝国)』などで知られる著者の新作長編。「李祹(世宗大王)文字」を使う人工知能(AI)が人間を支配する2061年、感染力、致死率ともに高いウイルスが出現する。最悪のパンデミックを防ぐため主人公が1896年の朝鮮にタイムスリップするという近未来サスペンス・スリラー。
8位:『보건교사 안은영(保健室のアン・ウニョン先生)』(特別版)チョン・セラン著(民音社/2020.9.11)
9位:『소년이 온다(少年が来る)』ハン・ガン著(チャンビ/2014.5.19)
10位:『피프티 피플(フィフティ・ピープル)』チョン・セラン著(チャンビ/2016.11.21)

注目の新刊は以下のとおりです。
『제12회 젊은작가상 수상작품집(第12回若い作家賞受賞作品集)』チョン・ハヨンほか著(文学トンネ/2021.4.7)
大賞受賞作のチョン・ハヨン「그녀는 조명등 아래서 많은 시간을 보냈다(彼女は電灯の下で多くの時間を過ごした)」をはじめ、キム・メルラ、キム・ジヨン、キム・ヘジン、パク・ソリョン、ソ・イジェ、ハン・ジョンヒョンの受賞作を収録しています。

『어쩌면 스무 번(もしかしたら二十回)』ピョン・ヘヨン著(文学トンネ/2021.3.1)
著者の6作目となる短編集。表題作のほか、金裕貞文学賞を受賞した「호텔 창문(ホテルの窓)」など2015年以降に書いた短編の中から性格の似た全8編を収録。いずれも登場人物が現在いる空間から別の空間へと移動することで物語が始まります。著者の作品は『アオイガーデン』(きむふな訳/クオン)、『ホール』(カン・バンファ訳/書肆侃侃房)、『モンスーン』(姜信子訳/白水社)などが邦訳されています。

イム・キョンソンのエッセイ『평범한 결혼생활(平凡な結婚生活)』(トースト/2021.3.11)。出会って3週間でプロポーズ、交際3カ月で結婚したという著者。刊行日の2021年3月11日は20回目の結婚記念日だそうです。20年を振り返って「結婚生活とはなにか」を綴っています。邦訳本に『村上春樹のせいで』(渡辺奈緒子訳/季節社)があります。

『케이팝 시대를 항해하는 콘서트 연출기(K-POP時代を航海するコンサート演出記)』キム・サンウク著、キム・ユンジュ絵(タル/2021.3.22)
著者はコンサート専門演出チーム「PLAN A」の社長兼代表プロデューサー。過去11年間、BTSやCNBLUEなど数多くのK-POPワールドツアーコンサートやファンミの演出を担当した経験を綴っています。

イラストエッセイの人気もますます高まっています。『좋은 사람에게만 좋은 사람이면 돼(いい人にだけいい人であればいい)』の10万部記念「春エディション」(キム・ジェシク著/ウィズダムハウス/2021.3.21)や『작은 별이지만 빛나고 있어(小さな星だけど光っている)』(スユン著/ブックロマンス/2021.3.24)、神父のホン・チャンジンによる『괜찮은 척 말고, 애쓰지도 말고(平気なふりをしないで、がんばりすぎないで)』(huddlingbooks/2021.4.5)など、続々と刊行されています。(文/牧野美加)