教保文庫、10月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の10月の月間ベストセラー(国内小説)と新刊をご紹介します。1位の『ダラグート 夢の百貨店』は総合分野でも首位でした。ドラマ『保健教師アン・ウニョン』のNetflix配信を機に、チョン・セランの4年前の連作短編集『フィフティ・ピープル』も再び注目されています。

1位:『달러구트 꿈 백화점(ダラグート 夢の百貨店)』イ・ミイェ著(ファクトリーナイン/2020.7.8)
韓国書店組合連合会が11月初めに発表した第4回「書店員の選ぶ今年の本」YA部門に同書が選ばれました。
2位:『보건교사 안은영(保健室のアン・ウニョン先生)』(特別版)チョン・セラン著(民音社/2020.9.11)
3位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
4位:『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면(わたしたちが光の速さで進めないなら)』キム・チョヨプ著(ホブル/2019.6.24)
韓国書店組合連合会による「書店員の選ぶ今年の作家」に、SF小説と純文学の両ジャンルで実力が認められたとしてキム・チョヨプが選ばれました。邦訳版が早川書房より12月に出版される予定です。
5位:『시선으로부터,(シソンから、)』チョン・セラン著(文学トンネ/2020.6.5)
6位:『복자에게(ポクチャへ)』キム・グミ著(文学トンネ/2020.9.9)
7位:『프리즘(プリズム)』ソン・ウォンピョン著(ウネンナム/2020.9.15)
8位:『김승옥문학상 수상작품집(金承鈺文学賞受賞作品集)2020』キム・グミほか著(文学トンネ/2020.9.28)
9位:『피프티 피플(フィフティ・ピープル)』チョン・セラン著(チャンビ/2016.11.21)
10位:『체리새우: 비밀글입니다(シナヌマエビ:非公開文です)』ファン・ヨンミ著(文学トンネ/2019.1.28)
中学2年生の話者を通じて多感な世代の学校生活や心理をリアルに描いた、第9回文学トンネ青少年文学賞大賞受賞作です。

注目の新刊小説は以下のとおりです。

『가만히 부르는 이름(そっと呼ぶ名前)』イム・ギョンソン著(ハンギョレ出版社/2020.10.12)
設計事務所で働く建築士スジンと、彼女に一目惚れした造園士ハンソル。スジンには長く想いを寄せている先輩ヒョクポムがいるが、ハンソルのストレートな愛に心が揺れる。それぞれ全力で愛し、全力で別れる、一人の女性と二人の男性を描いた長編小説です。著者が敬愛する村上春樹について綴ったエッセイ『어디까지나 개인적인』の邦訳版『村上春樹のせいで: どこまでも自分のスタイルで生きていくこと』(渡辺奈緒子訳/季節社)が先月、刊行されました。

『별뜨기에 관하여(星が出ることに関して)』イ・ヨンド著(黄金カジ/2020.10.20)
“韓国ファンタジーの祖”イ・ヨンドによる初のSF短編集。地球人と地球外文明との物語「ウィタン人シリーズ」4篇を中心に、2000年以降に発表された10篇を収録しています。

『바이러스 X(ウイルスX)』キム・ジンミョン著(etabooks/2020.11.6)
全世界が取り組んでも新型コロナのワクチンがまだ開発されずにいるのは、人類が体内でのみウイルスと闘おうとしているからだと指摘。ウイルスのDNAを現代の情報通信技術で認識し、ウイルスと体外で闘うべきだとの代案を提示する長編小説です。

小説以外では、ソウル大学消費トレンド分析センターがパンデミックの危機への対応戦略を見通す『트렌드 코리아 2021(トレンドコリア2021)』(キム・ナンドほか/未来の窓/2020.10.13)や、韓国現代史を代表する知識人、李泳禧(リ・ヨンヒ)の評伝『진실에 복무하다(真実に服務する)』(クォン・テソン著/チャンビ/2020.10.23) 、「K-FOOD」の過去・現在・未来を紹介する『백년식사(百年の食事)』(チュ・ヨンハ著/ヒューマニスト/2020.11.2)なども刊行されました。(文/牧野美加)