教保文庫、7月の月間ベストと注目の新刊(韓国通信)

教保文庫の7月の月間ベストセラー(国内小説)と新刊をご紹介します。根強い人気の『アーモンド』が1位、チョン・セラン、キム・フン、キム・ヨンスの新作があとに続きました。話題の韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』の劇中童話を書籍化したシリーズや、詩人ナ・テジュの散文集、『チョウンセンガク』創刊者によるフォトエッセイも注目です。

1位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ/2017.3.31)
2位:『시선으로부터,(シソンから、)』チョン・セラン著(文学トンネ/2020.6.5)
3位:『달 너머로 달리는 말(月の向こうへ駆ける馬)』金薫(キム・フン)著(パラムブック/2020.6.15)
4位:『일곱 해의 마지막(七年の末)』キム・ヨンス著(文学トンネ/2020.7.1)
5位:『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면(私たちが光の速度で行けないならば)』キム・チョヨプ著(ホブル/2019.6.24)
6位:『소년이 온다(少年が来る)』(特別限定版)ハン・ガン著(チャンビ/2020.4.24)
7位:『소설 보다:여름 2020』カン・ファギル、ソ・イジェ、イム・ソラ著(文学と知性社/2020.6.17)
8位:『철도원 삼대(鉄道員三代)』黄晳暎(ファン・ソギョン)著(チャンビ/2020.6.5)
9位:『악몽을 먹고 자란 소년(悪夢を食べて育った少年)』(『サイコだけど大丈夫』特別童話1)チョヨン著、チャムサン絵(ウィズダムハウス/2020.7.18)
人気ドラマ『サイコだけど大丈夫』に登場する童話作家コ・ムニョンが劇中で描いた童話の書籍化シリーズ第1弾。ドラマの脚本を書いたチョヨンと劇中童話を描いたイラストレーターのチャムサンがそれぞれ文と絵を担当しています。同シリーズ第2弾『좀비 아이(ゾンビの子)』もランキング11位につけていて、第3弾『봄날의 개(春の日の犬)』に続き第4弾『손, 아귀(手、アンコウ)』も8月中に刊行予定です。また、同ドラマの台本や劇中童話を収録したシナリオ集『사이코지만 괜찮아. 1(サイコだけど大丈夫)』も刊行されています(ホウヤ/2020.7.30)。
10位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)梁貴子(ヤン・グィジャ)著(スダ/2013.4.1)

注目の新刊は以下の通りです。
第25回ハンギョレ文学賞を受賞したソ・スジンの長編『코리안 티처(コリアン・ティーチャー)』(ハンギョレ出版社/2020.7.28)は、韓国語の語学堂(語学学校)で非正規講師として働く高学歴の女性4人の物語です。自身もオーストラリアで韓国語を教えている著者は、この小説の執筆中、コロナ禍によって授業が中止、失職状態となり、「崖っぷちで小説を書いている気分だった」そうです。その経験も踏まえて「生き残ること」について書いてみたかったと言います。

今年、文学人生50年を迎えた詩人ナ・テジュの散文集『부디 아프지 마라(どうか苦しまないで)』(時空社/2020.7.31)
2007年、胆のう破裂による腹膜炎で重篤な状態に陥ったものの九死に一生を得た著者は、それを機に人生に向き合う姿勢が変わったと言います。真の人生の意味や、生涯を振り返って何が大切だったかなどを96篇の散文で率直に綴っています。

『사랑 많은 사람이 슬픔도 많아서(愛多き人は悲しみも多く)』(チョウンセンガク/2020.8.1)は、月刊『좋은생각(良い考え)』を1992年に創刊し、27年間発行してきたチョン・ヨンチョルによるフォトエッセイです。記者や写真家、編集者、発行人として生きてきた著者が、引退後の生活や人生から教えられたことなどを綴っています。(文/牧野美加)