今、注目の本(韓国通信)

 教保文庫光化門店では、朝鮮最初の女性西洋画家で文筆家でもあったナ・ヘソクの短編小説『瓊姫(キョンヒ)』が発表されて100周年となるのを記念した企画が行われています。その一つとして、大山文化財団が企画した文学選集『경희, 순애 그리고 탄실이(キョンヒ、スネ そして タンシリ)』が8月31日に刊行されました。ナ・ヘソク(1896~1948)、キム・イルヨプ(1896~1971)、キム・ミョンスン(1896~1951)の日本統治時代の女性作家3人の作品を4編ずつ収録。韓国を代表する画家たちの絵も掲載されています。

 これら3人の作品を集めた「新女性の誕生」コーナーや、現代の女性作家の作品やユン・ドンジュの詩画集などが並ぶ「21世紀、女性の人生を語る」コーナーも設けられていました。

新女性1

21世紀の女性2

 

 

 

 

 

 

 

 店内では9月30日まで、ナ・ヘソク、キム・イルヨプ、キム・ミョンスンの文学作品を6人の画家が絵画で表現した展示会「絵、新女性を読む」も行われています(無料)。

新女性絵画展

絵_新女性2

 

 

 

 

 

 

 

 韓国小説のコーナーもご紹介します。日本でも人気がある作家の本がたくさん平積みされていました。

 日本で完訳プロジェクトが進行中の朴景利の大河小説『토지(土地)』と、映画・ドラマ化もされた『김약국의 딸들(金薬局の娘たち)』、先月、邦訳が出たチョン・ミョングァンの『고래』 (『鯨』斎藤真理子訳 晶文社)、『智異山』(松田暢裕訳 東方出版)、『関釜連絡船』(橋本智保訳 藤原書店)などの邦訳作品があるイ・ビョンジュの『운명의 덫(運命の罠)』、70年前の済州島四・三事件を扱ったヒョン・ギヨンの『순이삼촌』 (『順伊おばさん』金石範訳 新幹社)、斎藤真理子さんの翻訳で亜紀書房より邦訳版が刊行予定のチョン・セランの『피프티 피플(フィフティー・ピープル)』、『殺人者の記憶法』(吉川凪訳 クオン)でおなじみのキム・ヨンハの『검은 꽃(黒い花)』と『빛의 제국』(『光の帝国』宋美沙訳 二見書房)、今年『常磐の木 金子文子と朴烈の愛』(後藤守彦訳 同時代社)の邦訳が出たキム・ビョラの『구월의 살인(九月の殺人)』―などです。

韓国小説1

 

 

 

 

 

 

 

 ハン・ガンの2010年の長編『바람이 분다, 가라(風が吹いている、行け)』、チョ・ナムジュ、チェ・ウニョン、キム・イソル、チェ・ジョンファ、ソン・ボミ、ク・ビョンモ、キム・ソンジュンの女性作家7人によるフェミニズム小説集『현남 오빠에게(ヒョンナムオッパへ)』、キム・スムの『흐르는 편지(流れる手紙)』のほか、民音社「今日の若い作家」シリーズのチャン・ガンミョン『한국이 싫어서(韓国が嫌いだから)』、チョン・セラン『보건교사 안은영(保健教師アン・ウニョン)』、キム・ヘジン『딸에 대하여(娘について)』、ク・ビョンモ『네 이웃의 식탁(私のお隣さんの食卓)』、パク・ミンジョン『미스 플라이트(ミスフライト)』―なども目にとまりました。

韓国小説2

(文/写真:牧野美加)