【K-BOOK振興会だより】韓国ドラマの名台詞本から話題のキラー小説外伝まで日本語で読みたい、読める韓国の本を紹介

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K-BOOK振興会便り  2024年8月号        http://asm303.com/r/c/1vNL/GlRV/xoBfR/
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◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●

8月18日(日):【奈良蔦屋書店/会場】
韓国文学翻訳者が語る韓国文学の魅力と異国について
ゲスト:翻訳家の原田里美、柳美佐
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8月20日(火):【チェッコリ/会場+オンライン】
チェッコリ読書クラブ:テーマ本は『破果 』(ク・ビョンモ著、小山内園子訳)
モデレーター:「双子のライオン堂」の店主・竹田 信弥
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◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

小説 『ゴーイング・ホーム(고잉홈)』
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●アメリカという「他郷暮らし」を素材にした短編集

民音社の人気シリーズ「今日の若い作家」から出版され、話題となった長編小説『初級韓国語』『中級韓国語』の著者ムン・ジヒョクによる短編集。
韓国では過去の歴史の中で、多くの人々が「他郷暮らし」を選択している。
ムン・ジヒョクは、ニューヨーク大学大学院への留学経験をもとに、主にアメリカを舞台に、異郷の地で暮らす人々を描いて来た。
本書に収録された9編の短編は、アメリカという「他郷暮らし」を素材にしながらも、時間と空間、世代、生と死、男と女、親と子な
さまざまな「境界」で生きる人々の姿がモザイクのように配置されている。
新型コロナウイルスのパンデミックで私たちはそれまで意識していなかった「国境」という境界を強烈に意識せざるを得なかった。
本書においても確かだと思っていたアイデンティティが、いともたやすく崩れ落ち、破片となって散らばる瞬間が鮮やかに描かれている。
それでも日が暮れてしまわないうちに「家に帰る」ことができるはずだというムン・ジヒョクの視線は、暖かく優しい。
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児童書・絵本 『おい、マンボウ!(이런, 개복치!)』
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●小心者のマンボウを守る魚の物語

アンニョン! ぼくはこの海に暮らす小さな小さな魚。ぼくのような小さい魚は、大きい魚の体の下に隠れて生きるのが安全なんだ。
そう、あそこに泳いでいるマンボウのように。さあ、60匹目のマンボウの下へ、サッと移動だ!
うん? なんで60匹目かって? それがぼくの悩みなんだ。ここのマンボウたちはとても小心者で、
ちょっとした刺激を受けただけでも「ギャッ!」と死んでしまうんだ。
その度に、あのマンボウからそのマンボウへと乗りかえ続けないといけないぼくの気持ちが分かるかい?
今度こそ、マンボウが死んでしまわないようにぼくが上手に守ってあげるんだ!
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エッセイ 『傷のない季節(상처 없는 계절)』
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●作家であり、フランス語翻訳家であるシン・ユジンのエッセイ集

タイトル『傷のない季節』の「傷のない」とは、初めから傷のないまっさらな状態を指しているのではない。
「磨り減らないようにまめに手入れをして、どうしようもない傷と傷跡は模様として受け入れること」という記述は、
フランスの古い家を守るための方法について述べたものだが、傷との向き合い方を喩えた表現のようにも思える。
パリ留学時代の夢と挫折、言葉を移すこと(翻訳)と文章を書くことについての思い、家族や故郷の人々との関わりや、
フランス人のパートナーと愛犬との日々、新しくオープンしたカフェ「ル・ムーラン」についてなど、
「私」をとりまく人々や自然について繊細な観察眼を通して綴られている。
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社会『一日もまぶしくない日はなかった~大衆文化評論家チョン・ドクヒョンの胸に残った名台詞たち
(어느 하루 눈부시지 않은 날이 없었습니다 대중문화평론가 정덕현의 가슴에 오랫동안 남은 명대사들)』
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●韓国ドラマまでの名台詞の魅力を掘り起こす

「愛の不時着」「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん」「椿の花の咲くころ」など放送が終了しても長く愛される作品から
「涙の女王」「ソンジェを背負って走れ」など最新の韓国ドラマまでの作品から約40の名台詞を厳選。
仕事や将来への不安、友人や恋人との出会いと別れなど人生に重ね合わせたエッセイとともに名台詞の魅力を紹介する。
タイトルは2019年に韓国で放送され人気を博した「まぶしくてー私たちの輝く時間」のセリフからつけられた。
韓国ドラマの台詞から人生を振り返り前に進む勇気を与えてくれる力があり、新たな韓国ドラマの魅力に気づかせてくれる一冊だ。
韓国ドラマファンだけでなく人生のエールが詰まったエッセイとしても広く受け入れられるはずだ。
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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『破砕』(ク・ビョンモ/著、小山内園子/訳、岩波書店)
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65歳の女殺し屋が主人公として登場し、大きな話題を呼んだミステリー小説『破果』の外伝小説。
あの女主人公、爪角(チョガク)はいかにして生まれたのか、を知ることのできるとともに、作家のことば、ク・ビョンモインタビュー、
さらには日本の作家深緑野分さんによる解説も加わり、作品世界をさまざまな角度で楽しめる一冊に仕上がっています。
『破砕』を読んで『破果』を読んで、またその逆もあって、と無限ループが始まりそうです。
訳者の小山内園子さんからのメッセージを頂戴しました。
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『その猫の名前は長い 』(イ・ジュへ/ 著、牧野美加/訳、里山社)
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翻訳家としても活動しているイ・ジュヘの初の邦訳となる短編集『その猫の名前は長い 』。
生活環境が異なりながらもいい友情関係を築いていたママ友3人が、新型コロナウィルスが蔓延するなか開いた会食がきっかけでウィルスに感染し、
友情にほころびが生じる過程を書いた「わたしたちが坡州に行くといつも天気が悪い」。
1991年の学生運動をモチーフにした自伝的小説「水の中を歩く人たち」。長い疎遠のときを経て再び心を通じ合わせるようになった高校時代の親友と、
自分の娘の3人で北海道を旅する「その時計は夜のあいだに一度ウインクする」など計9編の短編が収録されています。
不条理を甘受せざるを得なかった女性の感情や表情が繊細に表現されていて、私も同じ悔しさ、かなしさを抱いたことがあるなと、
どの物語も共感できる短編集です。訳者の牧野美加さんからメッセージをいただきました
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『心がそっと傾く 』(ナ・テジュ/ 著、黒河星子訳、かんき出版)
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日本国内でも8万部を超える大ヒットとなった詩集『花を見るように君を見る』の著者、ナ・テジュの最新邦訳詩集『心がそっと傾く 』。
韓国ドラマ『ロマンスは別冊付録』でも登場し、話題を集めていた作品です。
今回もまたシンプルながらも心優しい言葉の数々とページを彩る美しく柔らかなタッチのイラストで、すぅーっと心が落ち着いてくるようです。
「根っこの力」という一篇の詩の最後のこの一節がなぜか胸に残りました。

ぼくらは たとえ知らなくても
よくわからないと言っては
いけない

知らないことを「よくわからない」と言ってしまうのだなと気づかされたような気持ちになったからかもしれません。
訳者の黒河星子さんから推薦のコメントを頂戴しました。
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◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、6月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)
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5月に注目の新刊で紹介した『두 사람의 인터내셔널(2人のインターナショナル)』が3位にランクインしました。
注目の新刊では、今月『구의 증명(クの証明)』が4位にランクインしたチェ・ジニョンの最新作と、
邦訳版も刊行されているイ・コンニムの『殺したい子』の続編を取り上げました。

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教保文庫、6月の月間ベストと注目の新刊(エッセイ)
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6月に注目の近刊で取り上げたキム・フンの新作エッセイ『허송세월(虚送歳月)』が1位にランクインしました。
注目の新刊では、「日本語で読みたい韓国の本」でも紹介した、韓国ドラマが好きな方にお勧めのエッセイをとりあげました。

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◆◇6月のK-BOOKらじお◇◆

#105 最後にすっと光が射すような「ロ・ギワンに会った」、韓国語原書に挑戦したい人におすすめの『P의 도시(Pの都市)』など|わたし、これ読みました
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#106 ドラマ好きは勿論、クリエイティブに興味がある人にもおすすめのインタビュー集  -岡崎暢子さん(翻訳者)|わたし、これ訳しました
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#107 ソウルの本屋さん・作業本屋スム(작업책방 씀)からお届け!ソ・ハナの韓国の本、ウロウロてくてく【特別版
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#108 本屋大賞の『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』はやっぱり書店員として外せない1冊 -飯田哲也さん(奈良蔦屋書店)|わたし、これ推してます
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__おしまいに____________________
韓国の詩人パク・ジュンさんと日本の歌人柴田葵さんの対談イベント「사랑(サラン)、愛、ラブ」に参加しました。
自分が影響を受けることの喜びと影響を与えることの怖れ、作者と作中話者の一致と不一致、両言語での朗読など、
話題が幅広く繰り広げられ、とても愉しい時間でした。
(運営委員:五十嵐真希)

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