【K-BOOK振興会便り】エッセイから歴史小説の大家の短編作品まで日本語で読める本も幅広く紹介/会場開催イベントはお早めにお申し込みを!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
K-BOOK振興会便り  2023年5月号        http://k-book.org/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆◇今月のTOPIK◇◆

●イベント情報●

5月13日(土):【CHEKCCORI/オンライン】
『韓国学ハンマダン』著者セッション第1弾−民主化運動の記憶、朝鮮古代史、歴史教科書、オルタナティブ経済−
ゲスト:青木義幸、植田喜兵成智、上山由里香、友岡有希
https://chekccori230513.peatix.com/

5月20日(土):【UNITÉ/会場参加】
「世界とつながる読書会」 vol. 2
『光の護衛』(チョ・ヘジン)
ゲスト:朴洵利(彩流社)
https://www.unite-books.com/event/

5月23日(火):【CHEKCCORI/オンライン】
『韓国学ハンマダン』著者セッション第2弾−近代文学、格差と若者、K-POPファンダムの言葉−
ゲスト:相川拓也、朝比奈祐揮、佐々紘子
https://chekccori230523.peatix.com/

5月26日(金):【日比谷図書文化館/会場参加】
翻訳者が語る世界文学への旅4
ハン・ガンの詩と小説を通して韓国文学を読み解く
講師:斎藤真理子
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20230526-_3_7/

◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆

エッセイ 『あなたのように優しい北欧(너만큼 다정한 북유럽)』
―――――――――――――――――――――――――――

●自分の人生や家族の在り方を振り返る旅行エッセイ

30代半ばでがんを患った仕事中毒の旅行作家が、つらい治療を経て、がん克服後に長年の夢だった北欧への家族旅行を実現。夫と7歳の娘とともに2ヵ月間かけて北欧の国々を回り、現地の人々の生活や自然と触れ合いながら、自分の人生や家族の在り方を振り返っていく。子どもを連れて現地の公園や図書館を巡り、北欧の教育観を肌で感じ、そして、夫婦で話し合う時間をゆっくり持つ。スケジュールを詰め込み過ぎない、ゆっくりとした時間が流れる北欧旅行から幸せが伝わってくる癒しの一冊。

あなたのように優しい北欧(너만큼 다정한 북유럽)

--------------------

人文・エッセイ 『不思議の国のパク・チヒョン(이상한 나라의 박지현)』
―――――――――――――――――――――――――――

●米国「TIME」が選ぶ「今年の100人」、英国BBCの「今年の女性100人」に選ばれたパク・チヒョン氏のエッセイ

「共に民主党」の事実上のトップである共同委員長に就任した2022年3月から6月に統一地方選敗北の責任を取り辞任するまでの82日間の体験をまとめた。
デジタル性犯罪「n番部屋事件」を暴いた活動家として、女性や若者の期待を集めて韓国政界に飛びこんだパク・チヒョン氏。政治への期待が失望に変わるまでに時間はかからなかった。若手政治家として大統領選で「改革の象徴」として支持を集めることに貢献したが、ベテラン議員に引退を迫った「586勇退発言」で党指導部と対立が表面化し、統一地方選後に党を追われた。パク氏の体験は女性が政治の世界で活躍することの難しさを浮き彫りにする。
パク氏は「世代や性別に関係なく誰もがやりたいことのできる社会の実現を期待している」と女性や若者の政治参加を応援している。日本の女性をもエンパワーメントしてくれる一冊だ。

不思議の国のパク・チヒョン(이상한 나라의 박지현)

--------------------

小説 『トラックを回る女たち(트랙을 도는 여자들)』
―――――――――――――――――――――――――――

●「あなたの痛みは、あなただけのものではない」という共感と連帯を示す小説集

誰かの死や病気、失恋、裏切りを経験してもなお生きていくしかない人々の姿が描かれている短編集。もがきながら生きる登場人物の姿に息苦しさを覚えながらも、読者はどこかに自分の姿を見つけることができる。
さまざまな暴力にさらされる女性たちが多く登場する。「フィンガーセーフティ」では、家父長制の中で心身のバランスを崩していく母親を客観的に観察する語り手に、「男に生まれなかったことが、彼女(母親)を苦しめたのだろうか」と語らせているのが印象的だ。本書に登場する女性たちは、物語をリードするのではなく、時代や家族など周りの状況に翻弄される存在として描かれている。フェミニズムに関心のある読者にぜひ読んでもらいたい。

トラックを回る女たち(트랙을 도는 여자들)

--------------------

絵本 『同い年(동갑)』
―――――――――――――――――――――――――――

●ずっとずっと「同い年」という一人と一匹の友情の物語。

赤ちゃんと犬は「同い年」。1歳、2歳、4歳、、、11歳、12歳、そして15歳。どんどん世界が広がっていく女の子と、そのそばで数倍早く時間が流れていく犬。生きる速度が違う二人の15年。相棒を見送ってしまい、時が止まったように感じるも日々は続く。もうそばにはいないけど、いつもそばに感じている。ずっとずっと「同い年」。という一人と一匹の友情の物語。子どもたちがペットを欲しがった時、まずは本作を一緒に読んで、ペットを迎える長所、短所について、そして命を迎える責任について話し合ってみるのはどうだろうか。そして、準備が整って大切な相棒を迎えることができたら…表紙のキラキラした輝き、向かい合う二人の視線の意味が、きっとわかるはずだ。

同い年(동갑)

◆◇日本語で読める韓国の本◇◆

『言いたいことを言ったのに、うまくいった』(ヤン・チャンスン/著、吉原 育子/訳、PHP研究所)
―――――――――――――――――――――――――――
韓国の精神科医ヤン・チャンスンによるベストセラーエッセイ。「いつも他の人との関係で自分だけが損している」と感じる人のための対処法を、様々なカウンセリングケースを紹介しながら語る。
本当の自分の気持ちを隠し、自分の意見を言えずただ他の人のいうことに同調してしまうことがある。そんなことが繰り返されると心の中では不満が溜まり人間関係を壊すこともある。著者は、言いたいことをいうためにはまず「あの人はどうして?」ではなく、自分の感情をよく理解することが大事と書いている。
失敗への恐怖を捨てないと自分自身も、相手も変わらない。変化の必要を感じている人へ最初の一歩を踏み出す事ができるようにしてくれる一冊
訳者の吉原育子さんによるメッセージをご紹介しました。

『火葬』(金薫/著、柳美佐/訳、クオン)

『火葬』(金薫/著、柳美佐/訳、クオン)
―――――――――――――――――――――――――――

第6回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」最優秀賞受賞作の一つ『火葬』(金薫/著、柳美佐/訳、クオン)。歴史小説で名を馳せている金薫の短編小説です。大手化粧品会社で役員を務める「私」が、脳腫瘍で闘病生活を送っていた妻、前立腺炎を患う自分、若い女性社員「あなた」への思いを語っていきます。病に冒され、死期の迫った肉体の描写がとても生々しい一方で、妻や自分とは正反対の若さを放つ「あなた」の描写は非常に繊細です。コントラストがはっきりしていて、金薫の様々な筆致を楽しめます。訳者の柳美佐さんによるメッセージをご紹介しました。

『火葬』(金薫/著、柳美佐/訳、クオン)

『僕のルーマニア語の授業』(チャン・ウンジン/著、須見春奈/訳、クオン)
―――――――――――――――――――――――――――

第6回「日本語で読みたい韓国の本」翻訳コンクール最優秀賞受賞作『僕のルーマニア語の授業』(チャン・ウンジン/著、須見春奈/訳、クオン)。公共機関で働く僕は、野良猫と眼が合ったことをきっかけに、ルーマニア文学の教授になるという夢をもっていた頃の恋を思い出します。「秋をそっくりそのまま鏡に映したような」瞳のウンギョンと、ルーマニアの小説や作家について語ったことなどに思いを馳せるうちに、ウンギョンの近況を知りたくなるのですが……。孤独や不安についての描写、秋から冬への流れとともに語られる心象風景が儚く美しく、人の心の繊細さを強く感じる作品です。訳者の須見春奈さんによるメッセージをご紹介しました。

『僕のルーマニア語の授業』(チャン・ウンジン/著、須見春奈/訳、クオン)

『悩みの多い30歳へ。』(キム・ウンジュ/著、藤田麗子/訳、CCCメディアハウス)
―――――――――――――――――――――――――――

「米Google No.1デザイナーが明かす仕事と人生のテクニック。」のキャッチフレーズに、少したじろぐ人もいるのかもしれませんが、読み始めてみると著者キム・ウンジュさんが自身で積み上げてきたスキル、そして何よりその成功までのマインドをストレートに伝えてくれる人生指南書です。人生を後悔しないためのメッセージは実はどの年代にもグッとくるものですね。
訳者の藤田麗子さんによるメッセージをご紹介しました。

『悩みの多い30歳へ。』(キム・ウンジュ/著、藤田麗子/訳、CCCメディアハウス)

◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆

教保文庫、3月のエッセイ月間ベストと注目の新刊
―――――――――――――――――――――――――――
2月と同じく、1位は『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』でした。7位の『그대 늙어가는 것이 아니라 익어가는 것이다(あなたは老いていくのではなく成熟していくのだ)』は、人生の後半を生きていく中年層に向けられたエッセイで、日本でも多くの共感を得られそうです。注目の新刊はパク・サンミ『憂鬱な気持ちも習慣です(우울한 마음도 습관입니다)』。
http://k-book.org/publishing/2023040602/

教保文庫、3月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)
―――――――――――――――――――――――――――
1位は不動の『不便なコンビニ』。ユン・ジョンウン著『マリーゴールド 心のクリーニング屋』も3月初めの刊行後、人気急上昇中です。注目の新刊は、2023若い作家賞を受賞したヒョン・ホジョンによる初の長編小説『고고의 구멍(ココの穴)』などです。
http://k-book.org/publishing/20230409/

◆◇4月のK-BOOKらじお◇◆

♯43 こころ癒される長編小説が大人気/驚きのペダル(配達)サービス - 麗子さんの韓国便り
http://k-book.org/news/radio_43/

♯44 母娘の関係性から考える小説 / 社会事情を鋭く切るエッセイ集 - わたし、これ読みました
http://k-book.org/news/radio_44/

♯45 翻訳コンクール受賞作がいよいよ書籍化!柳美佐さん、須見春奈さん - わたし、これ訳しました
http://k-book.org/news/radio_45/

♯46 『韓国語ジャーナル』への熱い想いと裏話をたっぷり語ります! アルク 美野貴美さん ― わたし、これ担当しました
http://k-book.org/news/radio_46/

——————————————

韓国の本=K-BOOKを愛する皆さんに、日本で刊行された翻訳本の新刊情報やイベント情報、韓国現地からの情報、
そして読者の皆さんの声をご紹介するインターネットラジオ「K-BOOKらじお」は、Apple Podcast、Spotify、YouTubeで毎週金曜日 朝9時配信中!
Google Podcastでの配信もスタートしました。
ぜひお好みのプラットフォームで番組登録をお願いします。

Apple👉 https://apple.co/3PRb6VW
Spotify👉 https://spoti.fi/3SgTqEB
YouTube👉 https://www.youtube.com/playlist?list=PLBkX7a7_CVRiEx8w

__おしまいに____________________
2023ソウル国際図書展(6月13日~18日)の「図書展の顔」ととプログラムが発表されました。
今年の「図書展の顔」はチョン・ソンランさん、ピョン・ヘヨンさん、オ・ジョンヒさん、キム・インスクさん
キム・エランさん、チェ・ウニョンさん。
皆さんの強く格好いい表情を、ぜひ公式サイトでご覧ください。
プログラムもとても豪華です。
https://sibf.or.kr/

(運営委員:五十嵐真希)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:一般社団法人 K-BOOK振興会

index



〒101-0051 千代田区神田神保町1-7-3三光堂ビル
TEL:03-5244-5427 FAX:03-5244-5428
mail:info@k-book.org
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━