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K-BOOK振興会便り 2022年8月号
http://k-book.org/
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◆◇今月のTOPIK◇◆
●今月のイベントをご紹介します。
8月9日(火):【丸善ジュンク堂書店オンラインイベント】
斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』発売記念トークイベント
https://online.maruzenjunkudo.co.jp/collections/j70019-220809
8月19日(金):【NHKカルチャー京都教室=オンライン】翻訳者が語る キム・ヨンス作品の魅力
講師:翻訳家 オ・ヨンア
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1250860.html
8月26日(金):【NHKカルチャー京都教室=オンライン】文学から考える哲学
~キム・ヨンス『世界の果て、彼女』を通じて~
講師:哲学者 岸見一郎
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1250160.html
◆◇日本語で読みたい韓国の本◇◆
インタビュー集 『俳優の部屋(배우의 방)』
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●映画マガジン「CINEPLAY」で連載されたインタビュー企画に、著者の書き下ろしエッセイを加えて1冊の本にまとめたインタビュー集。
俳優から厚い信頼を得る映画ジャーナリストのチョン・シウが、10人の俳優に行ったインタビューが収録されている。パク・ジョンミン、チョン・ウヒ、アン・ジェホン、ピョン・ヨハン、イ・ジェフン、チュ・ジフン、キム・ナムギル、ユ・テオ、オ・ジョンセ、コ・ドゥシムにインタビューを行った。
韓国映画や韓国ドラマが好きな人にぜひおすすめしたい1冊。
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児童書 『単語の女王(단어의 여왕)』
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●29個の単語をもとに、それにまつわる主人公の経験や空想を描きながら展開していく物語。2021年第27回黄金トッケビ賞受賞作。
祖母を亡くし、愛犬とも離れ離れになり、簡易宿泊所で息を潜めて暮らす主人公。布団を敷けば隣の人とぶつかり、足の踏み場もないほど狭い部屋。そんな生活を送る彼女の心の支えは、日々出会う「単語」の世界を想像し、旅することだった。単語の世界はいつも輝いていてあたたかく、そこではみんながいつも笑っている。重くなりがちな題材だが、小学生の視点からその重苦しさを「単語」と「詩」によって明るさに昇華させている。また、やさしいタッチの絵がうつくしい単語の世界と主人公の芯の強さを見事に表現している。
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SF小説 『私たちがまた巡り会える世界(우리가 다시 만날 세계)』
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●『モーメント・アーケード』の著者ファン・モガさん初の長編小説。
1990年、韓国では「庚午生まれの女の子は縁起が悪い」という俗説が広まり、お腹の子の性別が女の子であると分かると中絶するというケースが多くあった。その結果、新生児の女児100人に対して男児が116.5人という歴代で最も偏りのある男女比となった。この年の人工妊娠中絶を題材に、“1990年に生まれてこられなかった女の子たち”に向けて書かれた作品。
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絵本『かき氷の伝説(팥빙수의 전설)』
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●日本でも人気の韓国のかき氷が、どうやって生まれたかをユーモアと奇抜な想像力で描いた愉快な絵本。
愛らしいキャラクターが目を引く。勇敢で機知に富んだおばあさんと、体は大きいが何処か間抜けな雪トラ。雪トラはばあさんを怖がらせようとするが、その姿はむしろ⼀緒に遊ぼうとねだる子どものようにも見える。かき氷は夏のイメージが強いが、冬の定番の雪が加わり、季節にとらわれなく楽しめる。
韓国では大規模の展覧会も多数開かれ、イベントやグッズ販売も話題になった。
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◆◇日本語で読める韓国の本◇◆
『引き出しに夕方をしまっておいた』(ハン・ガン/ 著、きむ ふな、斎藤真理子 /訳、クオン)
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数々の邦訳作品があり、日本でも大人気のハン・ガン。誰もが邦訳を待ち望んでいた初詩集の日本語版が、翻訳家のきむふなさんと斎藤真理子さんの共訳により出版されました。既に書評にも多く取り上げられ、話題になっています。韓国語で紡がれた同時代の詩のことばを贈る、クオンの新しいシリーズ「セレクション韓・詩」の第1作目。きむふなさんと斎藤真理子さんによるメッセージをご紹介しました。
『氷の木の森』(ハ・ジウン/著、カン・バンファ/訳、ハーパーコリンズ・ジャパン)
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音楽×ミステリ×ファンタジーの傑作。本作『氷の木の森』で小説家デビューしたハ・ジウン作家。スリラーとファンタジーの要素が絡み合う本作は、韓国で大人気となり、オーディオドラマとしても記録的な販売部数を誇った作品で、2020年に改訂版が復刊され、韓国インターネット書店のファンタジー部門でベストセラー1位に選ばれた作品の待望の翻訳版です。訳者のカン・バンファさんによるメッセージをご紹介しました。
『長い長い夜』(ルリ/作・絵、カン・バンファ/訳、小学館)
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2021年韓国内で人気を集め、多くの書店主たちもおすすめと太鼓判を押していた一冊です。児童書では異例の25万部を誇ったベストセラー。
動物たちの世界は優しくありながらも、時に厳しい現実を見せます。その中でたくましく生き抜こうとする動物たちの姿に思わず感情移入してしまいます。傍で寄り添い旅しながら、一緒に小さなたまごを見守った、そんな気持ちになりました。訳者のカン・バンファさんによるメッセージをご紹介しました。
◆◇ 韓国の出版・本屋事情 ◇◆
教保文庫、6月の月間ベストと注目の新刊、近刊(韓国通信)
教保文庫の6月の月間ベスト10(国内小説)と注目の新刊情報をご紹介します。『別れの挨拶』で1位となったキム・ヨンハはあらたに短編集も刊行しました。今年の日本翻訳大賞を受賞したキム・ソヨンやブッカー国際賞の最終候補に残ったチョン・ボラの新作も登場しています。
◆◇7月のK-BOOKらじお◇◆
韓国の本=K-BOOKを愛する皆さんに、日本で刊行された翻訳本の新刊情報やイベント情報、韓国現地からの情報、そして読者の皆さんの声をご紹介するインターネットラジオ「K-BOOKらじお」は、Apple Podcast、Spotify、YouTubeで毎週金曜日 朝9時配信中!
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♯5 詩の共訳に挑んだきむ ふなさん、斎藤真理子さん―翻訳者の比重が大きいの…
http://k-book.org/news/radio_05/
♯6 斎藤真理子さんの単著を担当・穂原俊二さん―変遷しながら、より凝縮された一冊に
http://k-book.org/news/radio_06/
♯7 「わたし、これ読みました」-中央駅/言葉の温度/鳥のおくりもの/5番レーンを紹介
http://k-book.org/news/radio_07/
♯8 麗子さんの韓国便り―話題の一冊は自己啓発本に、日本の児童小説は累計170万部突破!
http://k-book.org/news/radio_08/
♯9 三作品が続けて刊行予定の翻訳者古川綾子さん―下調べして作品世界を把握できたら一気に訳します
http://k-book.org/news/radio_09/
__おしまいに____________________
『引き出しに夕方をしまっておいた』第2弾イベントで、ハン・ガンさんの静かな語り口、言葉への厳しく真摯な姿勢に改めて魅了されました。
今なお余韻に浸っています。
(運営委員:五十嵐真希)
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